英ロイターは東京発で民主党の新代表に野田佳彦氏(現財務相)が選ばれ、30日の首相指名選挙で新首相に選出されると伝えた。また新代表はまず、党役員人事に着手するが主要ポストである幹事長人事が注目となるとした。
代表選挙で野田氏が前原前外相を押さえて第一回投票で二位になり102票という予想以上の健闘をみせたことが決戦投票の勝利につながったという見方が強い。執行部を中心とした集票で岡田幹事長の陰の功績があったのではないか。民主、自民、公明3党の三党合意をまとめた功績も無視できない。幹事長は留任とみるが、どうなのだろうか。
むしろ官房長官人事が注目される。野田グループの蓮舫前行政刷新相の起用があるか、どうか。前原氏の処遇ポストも注目される。
[東京 29日 ロイター] 民主党は29日、党代表選を行い、決選投票で野田佳彦氏(現財務相)を新代表に選出した。野田氏は30日の首相指名選挙で新首相に選出される見通し。
新代表の任期は菅代表の残り任期である来年9月まで。野田新代表はまず、党役員人事に着手するが、「きょう1日もう1回整理してなるべく早い段階で公表したい」意向。「トータルで党を挙げた体制を作っていきたい」としており、特に主要ポストである幹事長人事が注目となる。
政権の枠組みについて野田新代表は、国民新党との友党関係を維持し、民主、自民、公明3党が民主党マニフェスト見直しの検討を確認した3党合意を順守する考えを示しており、野党との協力関係を維持して政権運営を図っていく基本方針は現政権と変わらない。
さらに野田氏は「今は政治空白を作る状況ではない。そもそも解散できない」と早期解散を否定した。解散権を縛るものではないとの見方もあわせて示したが、当面はこれまでの政権の枠組みを基本に、大連立も視野に置きつつ、目の前の課題である震災復興、原発事故対応、円高デフレ対策に注力する考えだ。
<代表選は逆転劇、親小沢・反小沢の亀裂は修正可能か>
野田氏は代表選の1回目の投票で2位につけ、決選投票に臨んだ。2回目の投票では、代表選に立候補した他の陣営の票を幅広く獲得し、1回目の投票の倍以上の票を得て、小沢一郎元代表が推す海江田万里氏を逆転した。
この結果について、海江田氏の陣営からは「野田新代表の下で民主党が1つにまとまってくれるものだと確信している。党内にしこりが残らないように努力しなければならない」(鳩山由紀夫元首相)との声が出ている。
輿石東参院議員会長は「挙党体制を築いていけるというより、築かなければいけない」と話す。
政治評論家の屋山太郎氏は「(海江田氏が票を上積みできなかったことをみても)小沢氏が裏で操る政治はもう終わったと思う。野田氏が代表選後のスピーチで『ノーサイドにしよう』と述べたが、代表選で顕在化した『小沢対反小沢』の亀裂は修正されるのではないか」との見方を示している。
<財政健全化路線を市場は評価、増税を嫌気する声も>
野田氏は菅政権の財務相として、震災後の第1次、第2次補正予算の編成に取り組み、最近の円高への対応でも為替介入や緊急対応基金の設立に加え、3次補正予算などで、さらなる円高対策にも取り組む考えを示している。
とくに財政健全化に強い意欲を示しており、26日の出馬会見では「日本で震災が起きたということで一国経済・財政主義でいいと錯覚すると、大きな国難に見舞われる」と懸念を表明、「しっかりと国民に負担をお願いする歳入改革も避けては通れない」と語った。
こうしたことから、29日の市場では、野田氏が1回目の投票で決選投票に残ったことを受けて、債券市場では財政規律維持への期待から債券が買われ、金利が低下した。
一方、株式市場では、野田内閣になれば増税路線は避けられないとして、日経平均が上げ幅を縮小する場面もあった。外為市場の反応は限定的だった。(ロイター)
杜父魚文庫
コメント