8326 違和感を持った輿石幹事長 古沢襄

野田新首相にはどちらかといえば好意的にみていたが、輿石東参院議員会長を幹事長に起用した人事には違和感を持った。しかも国対委員長には鳩山側近の平野博文元官房長官を起用するという。菅氏のように小沢氏と正面から喧嘩する必要はないが、ここまで小鳩グループに気を使う必要があるだろうか。
忘れてはならないのは、来年九月の党大会で小沢氏とは代表の座をめぐって対決しなくてはならないことだ。挙党態勢の構築を重視したというが、幹事長と国対委員長は代表選挙で野田氏を支持した人から選ぶのが筋であろう。
輿石氏も複雑な心境だったろう。参院議員会長のポストに仲の悪い北沢防衛相が横滑りしてきたら参院の主導権を奪われる。江田法相でも同じである。参院議員会長のまま幹事長に就任といわれているが、それはまた異例の人事で議論を呼ぶ。
<野田佳彦新首相が民主党執行部人事の要となる幹事長に輿石東参院議員会長を起用したのは「参院対策と党内融和のため」(野田氏周辺)だ。参院議員の幹事長起用は極めて異例だが、参院で野党が多数を握るねじれ国会の下、挙党態勢を構築するためには、参院民主党を取りまとめ、小沢一郎元代表に近い輿石氏を要職に据えることが最適と判断した。
「あなたしかいない」。野田氏は30日昼、国会内に輿石氏を訪ねて幹事長就任を強く要請したが、輿石氏は「少し考えさせてほしい」と回答を留保した。同日夕には党本部で再会談し、ようやく受諾した。
党のカネと人事の権限を握る幹事長に、小沢氏に近い輿石氏を起用することは、野田氏周辺にも反対論があった。しかし、野田氏は輿石幹事長案を「ずっと前から考えていた」(周辺)という。菅政権の「脱小沢」路線を踏襲して小沢氏と対立するよりは、「反小沢」と「親小沢」で対立した党内を一つにまとめることがまずは最優先だったからだ。
小沢氏にとって、輿石幹事長は申し分ない人事だろう。輿石氏が小沢氏の党員資格停止処分の解除に前向きなことから、小沢氏周辺では、輿石氏の起用に「最高の人事だ」「これなら融和的になる」などと歓迎する声が相次いだ。鳩山由紀夫前首相も「ノーサイドで党内融和のシンボルだ」と記者団に喜びを語った。 
もっとも、挙党態勢を名目に直ちに小沢氏の処分解除に踏み切るのは、小沢氏に距離を置く反小沢氏系の議員や世論の反発が必至。輿石氏は「時機を見て党内議論される」と述べたが、当面は党内動向を見ながら慎重に対応するとみられる。(時事)
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