さっき野田内閣の副大臣・政務官名簿が発表されたのですが、文部科学政務官に神本美恵子参院議員が、首相補佐官に水岡俊一参院議員が起用されていました。神本氏というと、福岡県教職員組合女性部長、日教組文化部長などを歴任したばりばりの日教組議員であり、自身のホームページでは、慰安婦問題で間違った事実認識に基づいて日本に公式謝罪を要求した米国のマイク・ホンダ下院議員と撮った写真を誇らしげに公開している人物です。また、水岡氏は元兵庫県教職員組合書記次長であります。
いよいよ文教行政の本丸、そして官邸そのものに日教組が乗り込んできたわけです。日教組のドンである輿石東幹事長が押し込んだのだか何だか、とうとうここまで来たか、と戦慄を覚えました。「資源のない日本は教育立国を目指すしかない」と常々語っていたという野田佳彦首相は、いったいどういうつもりなのか。
この人も、首相になれさえすればそれでいいというタイプの政治家だったということでしょうか。仮に内部に取り込んでこそそうした勢力を抑えられるという計算があるとしたら、それも甘い。まあ、輿石氏の言うがままか、何も考えていないというのが実態でしょうが。
しかしまあ、日本国民全体における保守派の数はせいぜい2割程度でしょうし、日教組議員が文科省に入るということにこうして懸念を表明しても、あまりピンとこない人の方が多いのでしょうね。これからの道のりも遠くまた険しいものとなりそうです。
さて、ここでいきなり話は飛びますが、きょう雑誌「明日への選択」(9月号)を読んでいたところ、拉致被害者「救う会」副会長の島田洋一福井県立大教授のインタビュー記事が載っていました。7月中旬に拉致議連などと訪米した際のエピソードが語られていたので、その中でちょっと興味を覚えた部分を紹介します(下線は阿比留)。
島田氏 今回会ったカート・キャンベル国務次官補は、対北朝鮮政策について、ヒラリー国務長官の一番の助言者ですが、日本の反発を招いただけで何も達成できなかったヒル(ブッシュ政権時の国務次官補)の轍を踏んではならないとの意識はあるようです。(中略)
ライス・ヒル路線とは終始相容れなかったドナルド・ラムズフェルド元国防長官にも会いましたが、彼は最近出した回顧録にこう書いています。北朝鮮に対しては、徹底的に圧力を加えれば、クーデターを通じたレジームチェンジ(体制転換)が可能であり、自分はその立場から制裁強化を推してきた。ところが、せっかく追い詰めたところで、一知半解のライス・ヒルが独善的に事を進めようとして、リチャード・ローレス国防副次官のような本当の朝鮮問題のプロを外し、揚げ句の果てに大失敗してしまったと。このラムズフェルドの指摘はアメリカ保守派の共通認識といえるでしょう。
……まだまだ興味深い証言は続くので、関心のある方は「明日への選択」を手にとっていただきたいのですが、これを引用したのは2日付のサンケイ・エクスプレス(EX)に同趣旨といえる記事が載っていたからです。EXの記事は、ディック・チェイニー前米副大統領の回顧録を紹介してこう書いていました。
《チェイニー氏は回顧録で、ブッシュ政権2期目の国務長官だったライス氏が2008年に北朝鮮を訪れ、金正日総書記と会談する計画を立てていたことを暴露。北朝鮮を6カ国協議につなぎ留める見返りとして、テロ支援国家指定を解除するなど、北に弱腰な外交政策を推し進め、ジョージ・ブッシュ前大統領の「判断をミスリードした」と論じた。さらにライス氏について「(北朝鮮との)合意が目標になっていたようだ」と指摘し「(08年10月に)テロ支援国家指定を解除した時は、核不拡散の分野で達成したことを大幅に後退させた悲しい瞬間だった」と厳しく批判した。》
……左派・宥和派の主張と論理に引きずられ、いろいろと判断を誤るというのは、日本だけの病ではないようですね。首相批判も政権批判も飽き飽きしたので、そろそろ何かしら称賛できる人が登場してこないかという切ない願いもあったのですが、やはりそれは無理というもののようです。
「北風と太陽」という寓話は、子供のころ、初めて読んだときから「太陽と北風を同じ土俵で競わせるこの設定は無理があるだろう」と感じていましたし、とても太陽政策をとるような気分ではなくなってきました。
杜父魚文庫
8352 忍び寄る日教組の影と太陽政策と 阿比留瑠比

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