アメリカ側識者の野田政権への反応をさらに紹介します。日本ビジネスプレスの古森義久のコラム「国際激流と日本」からです。
今回の分は民主党や野田政権がなお「小沢一郎問題」のトリコになっているという趣旨の指摘です。なお原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/21429
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「日本の民主党は政権獲得以来、新鮮な政策を打ち出し、日本の政治システムに革命的な変容をもたらすと期待された。だが、現実にはそれまでの自民党政権と同様の統治面での無能力や党内派閥争いの蔓延を立証するだけだった」
要するに今回の首相選びも、民主党自体があまりに問題が多いという現実の証明だと指摘するのだ。そしてそのことが米国にとっての肝要な日米同盟の絆を弱めることになる、と心配するのである。
小沢問題と3党合意が真剣な政策論争を排除した
日本の政情への深刻な懸念は米民主党リベラル系の日本研究者シーラ・スミス氏も表明していた。同氏は大手外交政策機関の「外交評議会」の日本担当である。スミス氏は今回の民主党の代表選出の展開自体が同党の欠陥や日本政治の弱点を反映したという点を強調していた。
「今回の代表選では政策論争はほとんどなく、日本国民一般への訴えは皆無だった。5候補による2回の討論(共同会見)も党内の人間的な争いの平板な繰り返しだった。この種の争いが政策面で民主党の統治を麻痺させてきたのだ。その顕著な実例が小沢一郎氏の役割である」
「小沢氏は政治資金不正の罪で起訴され、民主党の党員の資格を失ったが、なお党内の国会議員の間に百数十人の支持者を有している。菅首相の後継者は、その小沢支持者からの支持を得る必要があるのだ」
「第2の焦点は民主、自民、公明の3党による合意への対応だった。与党の民主党が国会審議を円滑にするために野党の自民、公明両党との間で成立さ せた3党合意は、民主党に公約の子ども手当や高校教育無償化などを放棄させていた。この合意は民主党員の多くを怒らせ、失望させた」
スミス氏はその上で、民主党の小沢問題と3党合意が今回の代表選で真剣な政策論争を排除し、いわゆる党内の人間的な争いをさらに燃え上がらせたと 指摘する。日本の首相があまりに頻繁に代わることも、結局は民主党の小沢問題に象徴される、こうした体質のせいだと診断するのである。
杜父魚文庫
8359 野田政権は小沢体質 古森義久

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