米ウォール・ストリート・ジャーナルは「鉢呂経産相、失言で辞任 発足早々の野田内閣に打撃」と速報している。
臨時国会も待たずに鉢呂氏が辞任に追い込まれたことで、民主党の政治的経験の浅さや政策遂行能力の問題が改めて注目を集めそうだ。野田首相 は民主党が政権を握ってから2年間で3人目の首相だ・・・と厳しい見方を示した。
<【東京】野田内閣の鉢呂吉雄経済産業相が、就任9日目の10日に辞任した。福島県訪問後の失言が、追い詰められ焦りの色を深める民主党政権を救うはずの新内閣を揺さぶっている。
鉢呂経産相は10日夕の記者会見で「一連の発言で国民の皆さん、とりわけ福島県民の皆さんに多大の不信の念を抱かせ、心からおわび申し上げる」と謝罪した。同氏に対しては野党だけでなく与党内からも辞任を求める声が出ていた。
臨時国会も待たずに鉢呂氏が辞任に追い込まれたことで、民主党の政治的経験の浅さや政策遂行能力の問題が改めて注目を集めそうだ。野田首相 は民主党が政権を握ってから2年間で3人目の首相だ。
鉢呂氏は9日、福島訪問後の記者会見で、震災と原子力発電所の事故で大きな被害を受けた町を「死の町」と呼んだ。だが、それにとどまらず、不適切な発言が相続いた。
鉢呂氏の辞任を受け、政府は経産相臨時代理に藤村修官房長官を充てた。
鉢呂氏に対しては、野党自民党の石破茂政調会長らだけでなく、与党内にも辞任を求める声が上がった。
民主党の前原誠司政調会長が10日朝、「放射能発言が事実なら大変由々しき問題だ」と述べたと共同通信が伝えたほか、何人もの匿名の民主党幹部の鉢呂氏辞任を求める声を国内メディアが伝えた。
2カ月前には、菅直人前内閣で復興担当相に任命されたばかりだった松本龍氏が震災の被害を受けた地域についての不適切な発言が原因で辞任した。同氏の辞任は、与党の分裂につながる可能性のあった内閣不信任決議案の可決を回避するため、辞任を表明した菅首相へ風当たりを一層強める結果となった。
13日から始まる臨時国会で、野田新内閣が野党の協力を得ることは一段と困難になっている。民主党は衆議院では大幅に過半数を上回っているが参議院では野党が過半数を握っているため、ほとんどの法案の国会通過が危ぶまれている。
こうした環境下で復興関連の政策を成立させ国民の政府への信認を取り戻すには、野田首相が野党の姿勢を和らげられるかどうかにかかっている。しかし民主党の隙(すき)を狙う自民党はさらに強硬姿勢を強めるだろう。同党は早期の総選挙を求めている。
鉢呂氏は、「国会が控えているので、皆さんにもこの一連のものについて成し遂げていただければありがたいと思っている」として自らの辞任が政権運営の助けになることへの期待を表明した。
就任後最も短期間で辞任した日本の閣僚は、1988年の竹下登内閣の長谷川峻法相で、任命からわずか3日後だった。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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