8387 台湾は中国の軍拡を恐れる 古森義久

ワシントンで報道活動をしていて、おもしろいことの一つは世界各国の多様な指導者たちが頻繁に来訪し、自分たちの国の実態をアメリカ側に訴えることです。
やはりアメリカは超大国です。日米安保条約をみてもわかるように、全世界の各地域、各国家に直接のかかわりを保っています。アメリカに依存する国家や組織も多いわけです。
そんなアメリカとのきずなを超重要とするのが台湾です。台湾では来年1月の総統選挙を目前にして、すでに激しい事実上の選挙戦が始まっています。国民党の馬総統に挑戦するのは民進党主席の蔡英文女史です。
その蔡女史がワシントンに来訪し、アメリカ側の要人と会って、スピーチをしました。そのなかでとくに強調されたのは台湾の安全保障、中国の軍拡によって台湾と中国の軍事バランスが崩れ、危険な状況が生まれている、という点でした。だからアメリカからの兵器の調達が必要だというのです。わが日本にも無関係な課題ではありません
<<台湾海峡の軍事「中国に有利」 民進党主席、米国で訴え>>
【ワシントン=古森義久】米国を訪問中の台湾の最大野党・民主進歩党(民進党)主席で来年の総統選候補である蔡英文氏は13日、ワシントン市内で演説 し、中国の軍拡により台湾海峡での軍事バランスが中国に有利に傾きすぎたとして、米国にF16戦闘機の新型などの兵器の売却を改めて求めた。
 
蔡氏は同日、ワシントンの大手研究機関のAEI(アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート)で演説して、台湾の主権に基づく、中国とは政治体 制の異なる現状の維持が台湾住民大多数の願いであり、台湾の将来はすべて台湾住民の自由意思で決められるべきだと強調した。
そのうえで蔡氏は、「台湾の平和と安定は安全保障への誓約によって支えられねばならないが、最近は中国の軍事力増強、とくに海軍力の強化によって台湾海 峡の軍事バランスは中国に有利に傾きすぎ、中国の軍事力行使を抑止する台湾側の能力は信頼性をなくしている」と指摘した。
蔡氏は国民党の馬英九政権が台湾の国防努力を怠っていると批判し、来年1月の総統選で勝って政権を握れば、「台湾防衛の適切な努力のために米国に新鋭のF16戦闘機を含む近代的な兵器類の売却を求めていく」と述べた。
米国との関係については「台湾と米国の戦略的パートナーシップの構築を進めたい」と語り、対米関係の強化を力説した。
中国との関係については蔡氏は経済の絆の拡大を重視すると述べ、「中国をいたずらに敵視はしたくない」としながらも、馬政権が中国との間で結んだ「中台経済協力枠組み協定」(ECFA)に対しては「透明性がない」として反対を表明した。
蔡氏はまた、台湾は東アジアの地域の安定にも関与すべきだと強調し、「米国とその東アジアでの同盟諸国との連携も強化せねばならない」と訴えた。
杜父魚文庫

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