8400 「ナポリタン」は米国発祥? 平井修一

横浜税関のサイトには「スパゲッティナポリタンは横浜生まれ!」とある。
<スパゲッティにタマネギ、ピーマン、ソーセージなどの具材を入れ、トマトケチャップをからめ炒めて作るお馴染みの料理「ナポリタン」は、横浜・山下町にあるホテルニューグランドが発祥の地です。
ホテルニューグランドは、第2次世界大戦後間もなく連合国軍総司令部によって接収されました。当時、このホテルの2代目総料理長だった入江茂忠(1912-1989)は、進駐軍が食べていたスパゲッティにトマトケチャップをからめた軍用食にヒントを得て、味気ないトマトケチャップは使わずに・・・トマトペーストを入れ、オリーブオイルを使った風味豊かなトマトソースを作りました。
そして、ハム、マッシュルームを強火でよく炒め、スパゲッティを加え、トマトソースに合わせ、すりおろしたパルメザンチーズとパセリのみじん切りをたくさんふりかけました>
これがナポリタンの始まりだというが、「進駐軍が食べていたスパゲッティにトマトケチャップをからめた軍用食にヒントを得て」とあるから、本家本元は米国ではないのか。
第一、ケチャップを使わないのならナポリタンと称してもただのトマトソース味であり、「スパゲッティナポリタン」の名称は入江氏が発明したのだろうが、元祖とは言えないだろう。
トマトペーストというのはトマトピューレと同様にトマトを裏ごして煮詰めたものだが、トマトペーストの方が濃い味でコクがある。ケチャップの庶民味とは品格が違う。
サントリーの烏龍茶は今年で発売30周年だが、それを記念してパッケージに「烏龍茶的食べ物語」を連載している。それによるとナポリタンは、ナポリからニューヨークに渡った移民たちが、トマトの代わりにケチャップで作ったアメリカ生まれのメニューだという。
トマトケチャップの商品化は米国ハインツ社が1876年に瓶詰めを販売したことが始まりで、広く普及してケチャップの代表になったといわれている。
時同じくしてイタリア人の米国への移住は1880年代から始まった。米国人はホットドッグ、ソーセージ、オムレツ、ハンバーガー、フライドポテトなどにケチャップをかけるから、イタリア系移民がパスタとケチャップを和えたという説には信憑性がある。ナポリタンの元祖は米国のようだ。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました