参院自民党の執行部人事をめぐるゴタゴタ劇は、米メデイアにまで紹介される始末だ。米ウォール・ストリート・ジャーナルは時事配信の記事を大きく掲載した。
自民党の参院議員会長・中曽根弘文氏が提案した参院幹事長起用を柱とする参院執行部人事案が、参院特別議員総会で否決されたのだから”ただ事”ではない。
中曽根提案否決の情景を産経は次のように伝えた・
・・・参院自民党の特別総会が開かれた参院第5控室は冒頭から異様な雰囲気に包まれた。中曽根弘文参院議員会長が壇上で鴻池祥肇元官房副長官の幹事長起用を含む人事案を提示すると非主流派議員が異議を唱えた。
石井準一氏「鴻池氏は不適格だ。到底承認できない。取り下げて再考願いたい!」丸山和也氏「執行部全体への批判だ。中曽根体制への批判だ。幹事長だけでなく国対委員長、政審会長も入れかえてほしい!」
中曽根氏は硬い表情で繰り返し了承を求めたが、騒ぎは収まらない。ついに石井みどり氏が溝手顕正元国家公安委員長の起用を求める過半数を超える46人分の署名をたてに「過半数の意見を無視して民主主義的運営ができるのか」と投票による決着を迫った。
参院執行部人事での投票は異例な展開だ。中曽根氏ら主流派は、衆院からの「くら替え組」である小坂憲次幹事長の続投とは違い、鴻池氏の起用に「それほど拒絶反応はないだろう」とタカをくくっていただけに焦りがにじんだ。
結局、中曽根氏の人事案は反対42票、賛成31票、無効6票であっさり否決された。中曽根氏は改めて特別総会を開き、新たな人事案を提示する方針だが、人事案が退けられるのは8月の総会に続きこれで2度目。中曽根氏への事実上の不信任案といえ、失墜した権威は取り戻しようがない。
昨年の参院議員会長選でクジ引きで中曽根氏に敗れた谷川秀善元参院幹事長は笑みをかみ殺した。「権力者は譲らなイカンのよ。今までのはチャラにしてみんなに相談したらいいやないか…」総会後、中曽根氏は悄然(しょうぜん)と立ち尽くした・・・>
自民党の参院議員会長といえば、池田、佐藤内閣を通じて三期九年間も参院に君臨し「重宗天皇」とまで称された重宗雄三氏をみてきただけに、野党に転落した中曽根参院議員会長の支配力の弱さだけが目につく。
<自民党は30日午後、国会内で参院特別議員総会を開き、中曽根弘文参院議員会長が提案した、鴻池祥肇元官房副長官の参院幹事長起用を柱とする参院執行部人事案を反対多数で否決した。人事案が投票に持ち込まれるのは極めて異例。これを受け、中曽根氏は改めて特別総会を招集し、新たな人事案を提示する考えを示した。しかし、否決は事実上の中曽根氏不信任を意味しており、同氏に批判的な町村、古賀、額賀3派からは辞任を求める声が出ている。
中曽根氏が示したのは「鴻池参院幹事長」に加え、脇雅史参院国対委員長と山本一太参院政審会長を留任させる案。これに対し、町村派などの議員からは「到底納得できない」との反対論が続出し、投票での決着を求める声が相次いだ。人事案を一括して採決した結果、反対42票、賛成31票、無効6票だった。
中曽根氏は総会後、記者団に「結果を踏まえながら、参院自民党の運営に全力で取り組みたい。会長職を全うしたい」と述べ、自らの辞任を否定した。
一方、谷垣禎一総裁は同日午後の総務会で、大島理森副総裁(65)と石原伸晃幹事長(54)を留任させ、総務会長に町村派の塩谷立元文部科学相(61)、政調会長に額賀派の茂木敏充党広報本部長(55)を起用する人事案を提示し、了承された。国対委員長には古賀派の岸田文雄元消費者行政担当相(54)が就任し、新体制がスタートした。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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8456 米メデイアが参院自民党のゴタゴタ劇を報道 古沢襄

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