アメリカ政府の元高官ら5人がアジアでのアメリカの21世紀の同盟関係について提言したことのレポートを続けます。日本ビジネスプレスの私の連載コラム「国際激流と日本」からの転載です。原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/24526
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同報告は、このため米国がパートナーの寄与拡大で2国間同盟を強化するだけでなく、米国を車輪の要とする米日、米韓というような2国間同盟の並列を、同盟国同士も相互に連携する集団的体制へとシフトさせることが必要だとも提言した。
その過程では、中国が米国主導の既成の国際秩序に挑戦する構えをとってきたため、米側は民主主義諸国の連携を基盤にすべきだという。
要するに、米国は中国の軍事パワーの拡大に押されて、同盟諸国のこれまでよりずっと多くの寄与を得る必要に迫られている。そうしなければ、アジア の平和と安定を守る役割も、軍事衝突を抑止し、いったん戦闘が起きた際には優位に立ってそれを抑える役割も果たせなくなってきた、というのである。
この状況は、まさに米国の戦後のアジア関与の歴史でも最大の変化と言えよう。中国の膨張はアジア情勢にそれほどの変容をもたらしているのだ。
米国が日本に求める大幅な軍事寄与さて、この報告の日本に関する指摘や提案が面白い。
報告は、アジアでの米国の新しい同盟関係の構築では日本こそが最重要の役割を果たすと、強調する。これまでは限定的な安保協力しか求めてこなかっ た日本には大幅な軍事寄与を求めねばならない、というのだった。朝鮮半島での戦争勃発や台湾海峡での軍事衝突開始という有事には、日本も米軍を直接的に軍 事支援することが同盟維持の前提になる、とも述べていた。
米国の日本への要請や期待としては、具体的に以下のような記述があった。
・従来、歴史的な理由などから日本に暗黙に期待した軍事抑制を撤回し、日本が軍事的姿勢を強め、消極平和主義を放棄することを求める。
・南シナ海などの領有権紛争の平和的解決や航行の自由を保つための海洋の防衛や抑止への日本の大幅な参加を求める。
・中国の台湾攻撃への抑止として日本が南方防衛を強化し、米軍の対中作戦に寄与することを求める。
・中国が台湾攻略の際に威力を発揮する空軍力と潜水艦戦力を抑止するために、日本も米国と協力して航空部隊と潜水艦を増強することを求める。(つづく)
杜父魚文庫
8475 日本は消極平和主義の放棄を 古森義久
古森義久
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