さあ、野田さん、どうするのでしょうか。ご自分の意見を明確に述べてほしいですね。でないと、総理大臣の名が泣きます。
■【主張】TPP参加 首相が決めずにどうする
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加問題で野田佳彦首相が政府・民主党に議論の加速を指示したのを受けて、野田政権発足後初の関係閣僚会合が開かれたが、参加へ向けた意思統一はできなかった。
菅直人前政権を含めた参加の是非をめぐる政府・党の議論は1年余も続き、論点は出尽くしている。いまだに入り口論議をするのでは何のための閣僚協議なのか。首相は議論の指示ではなく、参加を自ら決断し、意見集約に動くべきだ。
TPP交渉を進める米国など9カ国は11月12、13の両日、米ハワイで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに大枠合意を目指す。日 本にとってはアジア太平洋の成長を取り込み、日本企業の国際競争力を強化する好機となる。日米同盟を補強し、中国への牽制(けんせい)にもつながる。
しかし、鹿野道彦農林水産相が「外交交渉上、期限を区切るのは慎重な方がいい」(11日)と語るなど主要閣僚すらも慎重だ。党内議論もまったく進んでいない。
大きな問題は、首相自身が議論を指示しながら、「いつまでとは明確にしないし、特定の結論もない」(10日)と、決断の表明を避けているからではないか。
TPPの狙いは10年以内の関税撤廃原則など高水準の自由貿易圏構築にあるが、米国も砂糖など特定品目の除外を求めて交渉中だ。交渉に仲間入りしてこそ、有利な折衝の機会も開かれる。
参加の意思を関係国に伝える作業も含めれば、月内にも決断しなければとても間に合わない。
農業団体などの反対論に加え、「公的医療保険制度が崩壊する」(医師会)、「外国人労働者が大量流入する」などの誤解も多く、偏見や誤解を解く努力も大切だ。枝野幸男経済産業相はそのために24分野に及ぶ政府報告を公表するというが、急いでもらいたい。
政府の「食と農林漁業の再生実現会議」は8月、「農家1戸あたり農地面積を20~30ヘクタールに拡大すべきだ」との中間報告をまとめた。生産性向上に当然必要な施策だが、問題はどう実現するかだ。
バラマキ色の強い戸別所得補償を見直して、減反も廃止し、意欲的な専業農家に限って所得補償する制度に改める必要がある。
首相は「農林漁業は成長産業」と訴えた。その青写真を早急かつ具体的に描いてもらいたい。
杜父魚文庫
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