韓国の李明博大統領のアメリカ訪問にはびっくりしました。アメリカ側の歓迎がものすごいのです。アメリカへの公式訪問の日程を13日から始めた李大統領は国賓です。
午前中にホワイトハウスでオバマ大統領との米韓首脳会談にのぞみました。そして昼すぎには二人並んでの共同記者会見です。この間、一貫して米韓同盟のきずなの固さ、緊密さが強調されます。
そして午後はアメリカ連邦議会上下両院で全議員を前にして李大統領は50分ほども演説をしました。さてここまでの行事でも日本の首相の扱われ方とは天地の違いです。
なにしろ日本の首相は鳩山ルーピー以降、ホワイトハウスに入った人はいません。国賓なんて、とんでもありません。ましてアメリカ連邦議会での演説なんて、日本の首相は誰もしていないのです。
そして夕方はホワイトハウスでの李大統領歓迎の公式晩餐会です。明日14日はオバマ、李両大統領はそろってデトロイトの自動車産業の視察に出かけます。
こうした表面の動きだけをみても、オバマ政権の対応は日本の首相へのそれとはあまりに異なります。明らかに韓国を重視し、丁重に、温かく、歓迎する姿勢を全面的に表明しています。
しかも13日、アメリカ議会は懸案の米韓自由貿易協定を可決しました。米韓両国が経済的にもきずなを一段と深めたことを印象づけたわけです。
韓国も日本もアメリカにとっては東アジアの同盟パートナーですが、その首脳の扱い方はいやになるほど違うのです。これではアメリカが韓国をこそ大切に扱い、信頼をおくという姿勢が鮮明となります。
これまでの長い歳月、アメリカの歴代政権は東アジアでの同盟相手としてはいつも日本の名をまっさきにあげて、最重要なパートナーとみなす優先順位を明示してきました。それが今回の李大統領訪問では、ひっくり返ったようなのです。
さあ、日本側としての過剰反応なのか。
日本よりも韓国がアメリカのよりよき同盟相手、信頼にたるパートナーとなっても別に構わないのか。しかしもしそうであれば、アメリカ外交でも、東アジア情勢でも、歴史的な変化になるといえます。
李大統領が米側に対して一貫して訴えたことは、韓国がアメリカの同盟相手として、イラクでも、アフガニスタンでも、あるいはソマリア沖でも、自国にとって危険な軍事活動を展開してきた事実です。対テロ戦争であり、海賊退治であり、アメリカと歩調をひとつにした国際安全保障の行動なのです。自分たちにふりかかる危険を覚悟しての行動です。
日本の自衛隊のように、危険な地域に国際平和のスローガンで出ていっても、戦闘につながる行動はいっさいとれない、同盟国や友好国の将兵を守るためでも、戦闘行動はできない、いや自分たちを守るためにも戦闘はできない、という「異端」ではないのです。
日本にとっての対米同盟、そして韓国にとっての対米同盟、一体どこが違うのか、その間の差異には注視すべきです。ひょっとすると、歴史というのは、こんなふうにして徐々に、しかし大きく変わっていくのかもしれません。
杜父魚文庫
コメント
「アメリカの歓迎がものすごい」かえって胡散臭い匂いがしますね。しっかりとばら撒いている様子が推測できます。眩惑されないように気をつけたいと思います。