ランド研究所といえば、世界に冠たる安全保障研究のシンクタンクです。アメリカの歴代政権とも緊密なきずながあり、そこで研究する人たちは政府機関との間を往来する回転ドアの要人たち、つまり元政府高官が多いことでも知られています。
そのランド研究所が日本と中国は東シナ海で軍事衝突を起こす可能性がある、という予測を打ち出したました。アメリカとしては、そんな事態は避けたいので、なんとか間に入って、衝突を防ぐけれども、もしそんな事態が起きてしまえば、同盟国としての日本への支援を断固、鮮明にすべきだ、とも提言しています。この研究の要点を記事にしました。
〔ワシントン=古森義久〕米国大手研究機関が中国の対外軍事政策に関連して日本との間で東シナ海の領有権紛争やその他の海洋案件で軍事衝突の可能性があるという予測を公表した。
もし日中軍事衝突が起きた場合、米国はあくまで日本の防衛を助けるという勧告も明示された。
米国の安全保障、軍事問題の研究で知られる「ランド研究所」は11日までに「中国との衝突」と題する調査報告を公表した。
報告の主体は米中軍事衝突の確率シナリオだが、その種の衝突につながりうる各実例として「日本」という項目を設け、中国と日本との軍事衝突についての見通しを明らかにした。
b同報告によると、中日軍事衝突は「東シナ海での領有権紛争を起因とする海上での事件から、あるいは海洋でのなんらかの遭遇による日中双方の主張のエスカレーションから、起こりうる」という。
その背景としては日中関係は
①中国側に1945年までの日本の行動への怒りや恨みがなお残り、中国側からみての日本の無神経な言動でそれがときどき悪化する
②東シナ海での尖閣諸島の領有権と排他的経済水域(EEZ)の主張の対立をめぐる紛争がなお絶えない摩擦を起こしている
―という二つの理由でなお争いが続いているという。
同報告はそうした背景からもし日中間で軍事衝突が起きた場合、「米国の目標は日本の防衛を支援し、(他の諸国にも)アジアでの安全保障のパートナーはあくまで米国が望ましいことを明示する」と述べた。
同報告はまた日中軍事衝突の際には、米国が日本の国土や自衛隊への損害を抑え、制海権、制空権の確保、再確保するための行動をとることが求められるとして、そのための手段としては米国、あるいは日本による中国本土の拠点目標への攻撃も考慮せざるをえないかもしれない、と強調した。
杜父魚文庫
8526 日中軍事衝突を憂う 古森義久

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