久しぶりにプロ野球の観戦に熱を入れた。巨人を追われた三原監督以来の野球応援。反骨の監督、知将、優勝請負人が好きである。落合は三原とは持ち味が違うが、球団社長やフロントと壮絶な闘いを演じた末にチームを優勝に導いて去る。
どんなに人気がある監督でもチームが優勝しなくては意味がない。野球というのは勝つか負けるかしかにない力勝負だから、男になろうとしたら優勝するしかない。落合は球団史上初となる2連覇で9度目の優勝を決めた・・・その栄誉だけを誇りにして中日球団を去る。
政治の世界も球界と似たところがある。ファンサービスが足りない、国民受けする政策がない・・・と批判を浴びても選挙で大勝すれば、新しい評価が生じる。その評価を確実なものにするためには、総選挙で連覇するしかない。さて民主党は次の総選挙で連覇できるのだろうか。
今の衆院300議席は小沢流で勝ち取ったものだから、小沢なしで連覇が出来るのか、大方の予想は党内のゴタゴタで民主党に不利と占いが出ている。民主党の”オレ流”落合が出てくるのだろうか。今の顔ぶれを見る限り、お利口さんばかりで勝負師に欠けると思うのだが・・・。
<中日が横浜と引き分け、球団史上初となる2連覇で9度目の優勝を決めた。首位ヤクルトに一時は最大10ゲーム差をつけられていたが、シーズン終盤になって故障者が復活するなど戦力が整い、大逆転に成功した。今季限りでの退団が決まっている落合博満監督(57)にとっては、指揮を執って8年目で4度目のリーグ制覇となった。
オレ流指揮官が舞った。無数の手に突き上げられ、万感の思いがこみ上げた胴上げ。涙が止まらない。球団史上最大となる10ゲーム差を逆転した奇跡の退任V。監督就任8年目で4度目のリーグ制覇。球団史上初のリーグ連覇で有終の美を飾った。
前半戦終了時点で、首位・ヤクルトと8差。ただ、落合監督は動じなかった。「ちょうど72試合を終わって8ゲーム差だろ。後半に同じ試合数残ってるんだ。だから8ゲームは追い付けるだろ」。単純な数式。指揮官の動揺は、倍以上になって伝染する。泰然自若の姿勢を貫いた。
連覇の原動力となった事件がある。ナゴヤドームで行われた9月6日の巨人戦。3対5で敗れた試合後の関係者通路。坂井球団社長が、なんとガッツポーズを繰り出した。複数の球団関係者がその光景を目にし、すぐさまチーム内に広まった。
「ウチがひとつにまとまったのは、あのガッツポーズからだよ」と落合監督。アンチ落合の急先鋒。敗北=落合の汚点。喜ぶ心情は理解できる。だが、球団社長という立場にあるまじき禁断のポーズは、フロント不信を招くと同時に、選手の反骨心を呼んだ。
ある主力選手が言う。「あり得ないっす。監督のことを嫌いなのは構わない。人間ですから。ただ、試合をやってるのは、僕たち選手なんですよ。ガッツポーズなんて考えられない。選手をバカにしてるのと一緒ですよ」。荒ぶる心。ぶつける場所のない怒り。すべてを戦場でパワーに変えた。
ファンサービスが足りない。野球がつまらない。監督就任後から、外野の声に自問自答を重ねてきた。「いろいろ言われることには慣れてる。ただ、オレは現場を預かる最高責任者として、何ができるかを考えたら、勝つことしかないんだ。勝って気持ちよく家に帰ってもらう。それが一番のファンサービスだろ」。何を言われようと、オレ流を貫いた。
志半ばでドラゴンズのユニホームを脱ぐ。契約社会。終わりと言われればそれまで。野球界に生き続けてきた男として、その図式に異論はない。9月22日の電撃解任発表。「確かに契約書には、契約が切れる1カ月前までに来年の契約について話し合うとはあるけど、発表するとまでは書いてないんだ」。現場の空気を無視し、選手感情にも配慮せず、待ったをかけた白井オーナーを押し切ってまで、自らのクビ切りに執着した球団フロントへの恨みは尽きない。
ただ、野球人・落合博満の歩む道を自らで汚しはしない。「みんなが絶対に優勝するんだとやってきたんだ。オレも最後まで全力を尽くすよ」。唯一、成し遂げていない公約。リーグ優勝&日本一の完全制覇。誰にも文句を言わせない金字塔を残し、オレ流指揮官は竜を去る。(デイリースポーツ)>
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