80名の同行者のなかに国有銀行トップ、外務次官らも・・・。次期首相と目される李克強(副首相)は23日に平壌入りした。
同行者のなかには中国開発銀行会長の陳元、外務次官の張志軍ら80名。金正日と会談するほか、工業地帯とくに中国企業の対北朝鮮投資先プロジェクトなどを見て回る。
李克強は昨年(2010)五月の金正日訪中時、遼寧省の丹東まで将軍様の「お迎え」にでむき、黒塗り特別車両を先導して大連まで案内した“実績”がある。同年秋の将軍様の訪朝時には、胡錦涛がわざわざ長春へ飛んで会談した経緯もある。
北京の外交観測筋は、李克強の突然の訪朝を「協力関係の強化」と「六者協議再開への条件模索」としている。ところが、在米華字紙『多維新聞網』などは「朝鮮半島非核化への地ならし」(同月23日付け)と観ている。
その理由は「李は訪朝後、直ちに韓国へ向かうからだ」。実際に李副首相は25日に一度、北京へ帰国し、翌26日から一泊でソウルを訪問する。
とはいえ中国と北朝鮮との貿易額と、中国と韓国のそれとは40倍の開きがあり、経済パートナーとして中国はソウルの顔を立てる必要がある。
しかし李克強は次期首相ポストに最有力とされ(薄き来<重慶書記>の中執入りの可能性は北京観測筋の間では消えている)、さきにも香港を重点的に訪問したばかり。
香港金融筋と中国の金融条件、銀行システムの改革などで濃厚な話し合いをしている。この間、習近平はと言えばバイデン米副大統領訪中に同行し、四川省まで案内していた。
したがって李克強の訪朝は対外的には外交デビューに映るかもしれないが、実質的には『経済』である。北朝鮮と中国の貿易は、前年比二倍近くに膨張しており、港湾開発やインフラ整備に中国企業が大挙進出しており
羅津へのハイウエィも完備、日本海側への鉄道ルートも完成間近。こうなると、次の経済協力関係強化には血脈となる金融が欠かせない。銀行関係者の同行が、そのことを示唆している。
杜父魚文庫
8559 李克強が金融関係幹部を大挙率いて訪朝、金正日と会談へ 宮崎正弘

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