8572 心の琴線が響きあう日台国民 伊勢雅臣

■「親類に礼状は不要」
JOG(720)「大震災で深まった日台の絆」
http://archive.mag2.com/0000000699/20111023080000000.html
には、紙数の制約で収まりきらなかった佳話を書いておきたい。
台湾からの支援は、義捐金や救助隊派遣だけでなく、他の様々な分野に及んだが、その中には、我々日本人の心の琴線にふれるものがある。
たとえば、王金平・立法院長(70)(国会議長に相当)は、5月12日にも観光業者ら約300人を率いて北海道を訪問し、日本の安全性をアピールした。台湾から日本への観光客を維持することが、日本への支援になるという、見事な心配りである。
また台湾赤十字を通じ、義援金約1万4000円(500台湾元)を寄せたという台北市在住の元小学校教師は「情けは人のためならず」と、日本語で動機を説明し、さらに台湾が感謝広告の対象から外れた件についても「親類に礼状は不要。日本の感謝の意は別の形で伝わっているから問題ないよ」と心にくい言葉を述べた。
■台湾全体の親日回帰
台湾外交部の元高官は、今回の台湾の突出した対日支援ぶりの背景に関して、次のように説明している。
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戦後、国民党政権の腐敗と横暴が本省人を苦しめ、『日本時代はよかった』と懐かしんだように、急激な対中接近の結果、札束かざして土産物を買いあさる中国大陸からの観光客のマナーの悪さが当時と二重写しとなり、台湾全体の親日回帰に拍車をかけたのでは。
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台湾人にとって見れば、中国人の方が血のつながりはあるが、いざ実際に接してみれば、なんとも心の通じ合えない相手だったと分かったという所だろう。
それに比べれば、台中市の新民高校日本語学科の学生が言ったように、「このような天災に会いながらも、規律正しく、天を恨まず、しなくてはいけないことを整然と行っている」日本人の方が台湾国民の心の琴線に触れたのではないか。
JOG720号でも、「恩を忘れない」という言葉が日台双方から繰り返し語られた様を紹介した。「恨みを忘れない」という他の近隣諸国に比べれば、日台間のこころのつながりは、特筆に値する。
杜父魚文庫

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