またも弾圧をはねのけ中国の労働者、ストライキ側が要求を通した。暴動、放火、パトカーの大半がひっくり返され、放水車にも放火された。
湖州(浙江省杭州の北隣)の騒擾は、29日、税務当局が「ミシン税」を撤回することを表明し、ようやく収まりつつある(ウォールストリートジャーナル、10月30日、ネット版)。
浙江省の繊維産業は浙江省全体のGDPの40%をしめ、中小零細企業およそ一万社がひしめく産業である。過去五年間に人民元の対ドルレートは30%前後切り上げとなり、輸出競争力を失い、さらに賃金上昇が重なったため完全な斜陽産業、大手のおおくはベトナム、バングラデシュへと移転した。
まだ浙江省にとどまっている繊維産業はよほどの零細か家族産業もしくは独自のデザイン、もしくは納期厳守、労賃が異様に安いなど特殊事情がともなっている。
この悲惨は状況に重税を課せば、ガスが充満したところへライターで火をつけたような格好である。
ミシン税は、一台のミシンに月300元から600元の課税を予定していた。女工さんの月給の半分に匹敵する額をミシン所有にかけるというのは、企業を破滅させる。だから、湖州暴動では若い女性の参加者がめだつうえ、拘束された女性が多い特徴がある。
民衆は公害の元凶とみられた化学工場の移転要求を貫徹させた、あの「大連モデル」を噂で聞き知っている。民衆の抗議で当局が譲歩した初めてのケースだからだ。今後、中国の労働運動がいきおいをつけて変わる徴候ではないか。
杜父魚文庫
8596 湖州税務当局が「ミシン税」を撤回、抗議デモが勝利 宮崎正弘

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