中国不動産バブルの崩壊は70%ほどの大暴落がないと決着しない。もともとが箱物をつくっての投棄であり、マンションは飛ぶように売れたが、それは実需ではなかった。
豪華マンションを見学すると洗濯物も干されていないばかりか、近くの商店街はシャッター通り。つまり人が住んでいないのである。
中国全土で物件をつり上げた“主犯”格は、温州の投機家グループだったが、かれらの大きな躓きはドバイである。
2008年リーマンショック、09年ドバイショック。ドバイに投棄して数十億ドルをすったかれらは手元資金回転のために高利に手をつける。
浙江省は地下銀行が猖獗しているが、中小零細企業が国有銀行からの融資を受けられないためであり、プライム・レートより3-4%高いだけの金利。経済成長率が10%あれば、高利が10%前後でも十分元が取れた。かれらは、この三月に東京でも物件展示即売会を挙行した。大地震直前である。
すでに昨年から小誌でもレポートしてきたように、北京の不動産値崩れは家賃が40%下落しはじめた2010年夏あたりから。現在、北京市内でマンションの20%の値引きは常識、年内に30%値下げ物件が登場しても売れないだろう。
上海は都心のマンションを40%値下げで売り出し、以前の価格で購入した投資家らが「差額を返せ、詐欺だ」と連日のように上海のど真ん中で抗議活動を展開している。業者は「価格は需給バランスで決まる」として、返金に応じる姿勢にはない。ヘラルドトリビューンによれば南京、杭州も同様という。
公式統計では不動産価格は12%下落だそうである。「GDPの10%が不動産関連、中国全体の不動産の借り入れ合計は136兆円(1・7兆ドル)、全国70の主要都市で実情を調査したところ、三分の二の都市で値下がり傾向が顕著、したがって、これから一年間に、10-20%の価格調整があるだろう」(ロイター、11月1日)と当局は嘯いているそうな。
中国不動産バブルの崩壊は70%ほどの大暴落がないと決着しないのではないか。
杜父魚文庫
8604 公式発表は12%の下落、「マイルドな不動産価格調整期だ」と当局は嘯くが 宮崎正弘
宮崎正弘
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