8610 米軍の新アジア戦略とはこれだ! 古森義久

米軍のアジア最重視、再重視の戦略の具体的内容とは以下のようです。日本ビジネスプレスの私の連載コラム「国際激流と日本」からです。原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/27679
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日本にとって歓迎すべき「アジアに帰る米国」
では、米軍は新しいアジアシフト戦略として、具体的にどのような措置を取るのか。パネッタ、クリントン両長官の発表や発言を総合すると、以下のような項目が浮かびあがる。
・米国は日本と韓国という年来の同盟相手との防衛の絆を強め、深める。
・米軍はオーストラリアの駐留規模を拡大し、合同演習を増す。
・米軍はシンガポールに沿岸警備艦艇を配備し、太平洋からインド洋にかけての警備活動を強める。
・米軍はフィリピンへの艦艇の寄港を増やし、地元テロ対策部隊の訓練にあたる。
・米軍は中断してきたインドネシア軍の訓練を再開する。
・米国はインドやベトナムとの防衛交流を進める。
クリントン国務長官は米国のこうした動きを「新しい世界の現実への対応」とも形容した。日本などアジアの諸国にとっては「アジアに帰る米国」は歓迎すべき対象である。中国が軍事拡張を重ね、国際合意を無視する行動を顕著にしている現在、超大国の米国の軍事強化はアジアでの抑止となり、安定を増す動 きだと言えよう。
しかし、そう安心してもいられない。米国のアジア復帰が中国の膨張に対して本当に抑止や安定への実効をあげるのかどうか。
まず上記の「強化策」を見ても、具体的な個々の措置はいずれも規模が小さく、ささやかな防衛策である。日本や韓国との同盟の強化や深化といっても、具体的な措置が浮かんでこない。
そもそも米国のアジアでの防衛戦略自体が、いま幾多の障害に直面しているのだ。その種の障害は米国の「アジア・太平洋重視戦略」全体に大きな影を落としていると言える。その影はアジア側にとっての深刻な懸念ともなっているのだ。
米国の財政危機が国防費を直撃
では、どんな障害があるのか。(つづく)
杜父魚文庫

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