8616 資源立国のザンビアにも吹くアンチ中国感情 宮崎正弘

新大統領は反中国派の領袖、猛烈な中国批判が始まった。資源リッチの国、ザンビアって何処になるかご存じでしょうか?
西にアンゴラ、北はコンゴ、南はジンバブエなど七つの国と国境を接する内陸国家。もともとは英国領北ローデシア(南ローデシアが現在のジンバブエ)。国土面積は日本に二倍もあり、人口は日本の十分の一、治安がめっぽう悪く、強盗は日常茶飯。
このザンビアの銅鉱山を四つ、中国企業が経営している。旧宗主国の英国企業もあるが、微々たるもの、観光資源はヴィクトリア瀑布。
ザンビアの主要輸出品目は銅、ならびに銅鉱脈に随産出するコバルト。GDPの60%が銅の輸出、最大顧客は中国様。日本はコバルトを少量輸入している。
さて問題は新大統領のサタが「アンチ中国派」の代表選手、この九月に当選したばかりだが、万年野党だったサタが国民の多くの支持をえた理由は「反中国感情」なのである。
銅鉱山で、ザンビア人を奴隷のように酷使し、残業手当はつけず、十二時間酷使するが、現場の安全対策はおざなり、05年の爆発事故では51名が死亡した。
人権は無視され続け待遇改善を要求して労働組合が立ち上がると、なんと中国人マネジャーらは労働者を銃撃して多くの死傷者がでた。これは2006年の事件で、一気に反中国感情が燃え広がった。
爾来、労使対立のまま、中国企業は不満を抱く労働者をつぎつぎと馘首するので、貧困にあえぐ人たちはけっきょく、中国企業の安賃金でも働かざるを得ない。ほかに雇用がみつけにくく、町にはエイズ患者がうようよしている。
サタは大統領選挙でも「中国をたたき出せ」と訴えてきた政治家。
AP電(11月4日)によれば、『国際人権ウォッチ』が122ページのザンビアにおける人権問題報告書をだし、中国企業の人権無視、労働者抑圧の悲惨さを指摘し、「一向に改善の跡が見られず」とした。
杜父魚文庫

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