TPPについて日本経済新聞が社説を載せています。日本は交渉に参加すべきだという趣旨です。
どの分野でどのぐらいの損得があるか、という各論に入る前に、いまのままの日本の経済は衰退あるのみだという構造的な予測と論理とをまず前面に打ち出しています。
国を閉めたまま、現状の維持、既成利権の保持、改革の排除という道を歩めば、あとは衰退や縮小が待っているだけだ、というのです。
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<<日本経済新聞【社説】経済成長へTPP交渉参加を決断せよ>>
人口減少と高齢化が進み、東日本大震災で深く傷ついた日本は、どうすれば国の活力を維持できるか。国内だけの力では、これまで通りの経済成長は果たせない。
国を開き、海外の市場とのつながりを太くし、世界の元気な国々と連携して生きる道を進まなければならない。 その強力な枠組みになると考えられるのが、環太平洋経済連携協定(TPP)だ。
野田佳彦首相は、今こそ交渉参加を決断すべきだ。機は熟した。 アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が目前に迫っている。 これからの日本の進路を世界に打ち出す大舞台である。
日本の上場企業の2012年3月期の連結経常利益は、前期比で2ケタの減益となる見通しだ。 大震災や円高の打撃で、日本経済の担い手である企業が急速に弱っている。 このままでは雇用や個人消費への影響が避けられない。
成長の道筋を描かなければ、日本経済は先細りになってしまう。最大の経済大国である米国、そして伸び盛りのアジア各国と貿易や投資を拡大するTPPこそ、日本の成長戦略の柱になるはずだ。
国を開くことは、国内の改革と表裏の関係にある。国民が安心して暮らすために、食を支える国内農業の再生を急がなくてはならない。金融や通信、医療などのサービス分野は、生産性を高めて成長産業として育てる必要がある。
いずれも規制改革を進め、非効率な制度や慣習を変えていくべき分野だ。TPPは関税撤廃だけではなく、貿易や投資に関連したさまざまな共通ルールづくりを目指している。交渉をテコに、国内の改革を進めるべきだ。
それは痛みを伴う道でもある。だが、日本が経済成長を目指す以上、避けられない一時的な痛みである。 開国に伴う急激な変化を心配する声は当然だろう。だからこそ、日本の未来に責任を負う野田首相が、大局的な見地に立って自ら決断を下すしかない。
現在の交渉国の政権は、それぞれ覚悟をもって、高度な自由化に挑んでいる。痛みから逃げるのではなく、痛みを緩和する措置に知恵を絞りながら、成長のために国内改革を推し進める覚悟だ。
参加する前から、交渉離脱も考えるような中途半端な態度では、日本の未来はつかみ取れない。交渉の一員となり、日本から米国などに、どんどん注文をつけていく攻めの姿勢に転じる時である。
杜父魚文庫
8628 TPP交渉参加を決断せよ 古森義久

コメント
●成長の道筋を描かなければ、日本経済は先細りになってしまう。
ここでは、このままではダメだという答えが出ます。
しかし、
●TPPに参加して良い事があるのかどうか。
ここでは、良い事が起こりえるという可能性の話、何もしないよりはいいという理由からの賛成、そういったものしか出てきません。
もう序盤から答えは出ていると思いますよ。
TPPに参加はせず、その上で様々な問題の解決策を考えていくべき、これが正しい答えでしょう。
代わりの解決策を考えもせず、得になりそうにもないTPP参加に飛び込むのは馬鹿のすることです。
あと本当に不思議なのですが、
何もしない or TPP参加、
このような構図にしたがる人が多いのはどういう事なのか。