8690 バブル爆発の導火線に火が付く 宮崎正弘

滑り出しこそ順調に見えるが、将来の金利支払いを考慮に入れているのか。上海、広東、深せん、浙江省が中国金融史初の「地方債」を発行。
既報のように、上海、広東、深せん、浙江省が中国金融史初の「地方債」を発行した。広東省の地方債は69億元規模だった。
上海市債は合計71億元である。うち36億元の入札が行われ三年ものの金利が3・14%(額面3・1)、また35億元分の五年ものは3・35%(額面3・3%)。それぞれ入札で指し値以下の金利で売れた。
金利差が僅少なのは、存外人気がある証拠だが、それは自由市場のことであって、閉鎖されて金融市場の中国では強制的に銀行の買わせたか、高官らの高利貸しファンドに押しつけたか?
深せん市債は合計22億元、浙江省は67億元になる。この四つの地方債権は、合計で229億元!
さてこの四つの地方政府が出した新らしい債務の使い道は? 金融インフラ整備と低所得者用住宅など「前向き」に向けられるそうな。しかしすぐにも金利支払いが生じるが、その予算は驚くことにまだ講じられていない。229億元といえば邦貨換算3000億円弱である。
全体像がより正確に浮かび揚がってきた。中国全体で省、市、県、鎮、村の行政単位は2800近い。このうち財政赤字に陥っていない単位は54しかないことが国家歳入庁の報告書で判明した(アジアタイムズ、11月20日)。
さてこうした中国の地方政府が設立した金集めの「開発公社」は一万社近いが、このうち6576社の負債合計が2010年末までに10兆7200億元になっていたことが数字で現れたのである。
これは中国のGDPの26・9%に及ぶことも。邦貨換算で140兆円弱。この金額、じつはギリシアGDPの七倍強!!
しかも、債務合計10超7200億元の80%が銀行からの借入金だった。合計は8兆5000億元(ちなみに08年リーマンショック直後の財政出動は4兆円だから、その二倍強にあたる)。
バブルの爆発はしゅるしゅると導火線に火が付いた。
     
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 読者の声 どくしゃのこえ DOKUSHANKOE 読者之声
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(読者の声)貴誌通巻第3487号で「こんな債権をどの機関投資家が買うのでしょうか?」と書かれましたが、答えは簡単です。日本政府への中国政府からの圧力により、財務省が日本の金融機関や機関投資家に買うように教唆するのにきまっています。
しかし、総額では殆ど売れないでしょう。その先にあるのは、高率の地方税導入です。これでますます中国企業の輸出競争力がなくなることでしょう。
ところでギリシア、アイルランド、イタリアの国債金利が上がる中、逃避先として日本、アメリカ、ドイツの国債金利が下がってきています。
これでドイツの財務当局は笑いが止まらないことでしょう。円やドルに対してユーロの為替レートが下がる中、金利が3%なら実質的には債務が減っていきます。
このことにドイツ政府首脳が気付いていないはずはありません。今回のユーロ参加国の金融危機は典型的なできレースですね。(ST生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)もし貴説が正しいとすると、欧州の金融界に潜む魑魅魍魎たちの、世紀の陰謀になりますね。ラガルドやらベルルスコーニやら、玉石混淆。ギリシアとイタリアの新首相は経済専門家。とても金融謀略をしかけるマキャベリストには見えませんが。それにしても通貨戦争のアキレス腱をつくはずのジョージ・ソロスがまったく高みの見物をしているのも奇妙です。
きっと欧州の金融スパイはソロスの動きを盗聴していますね(爆笑)。
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(読者の声)一昨日(19日)の夕刻、東京湾エリアは強風で京葉線はまたもや運休でした。開業から20年以上経つのに強風対策はほとんど進まず(ホームドアとともにコストのかかることは後回し)、2005年の羽越本線での脱線事故以降はちょっとした風でも運休になることが増えたように思います。
JRも地下鉄も以前なら人身事故や強風があっても折り返し運転などで鉄道利用者の利便を考慮していたのに、今ではすぐに全線で運行停止してしまいます。
台風が首都圏を直撃したときなど私鉄はすぐに運転再開したのにJRは半日も運休が続きました。震災やタイの洪水でリスクマネジメントが求められていますが、今のJRは何もトラブルが起こらないことを前提にしたダイヤですね。
人身事故、車両・架線のトラブル、コンピュータ・プログラムのバグといったことですぐに全線運行停止になります。
保線要員を削りまくった結果、安全確認に時間がかかるといいますが、労働組合の力も大きいのではないかと推測します。国鉄分割民営化以降、駅ナカビジネスやホテル事業などに手を広げ、近年では東京モノレールを傘下におさめ、東急車輛も子会社化予定と拡大の一途、公共交通機関としての使命など忘れたかのよう。
以前住んでいたマンションのJRの運転士、平日にゴルフバッグ、朝の通勤時間帯には駅前で民主党のビラ配りと遊びも政治活動も大忙し。JR東日本はよほど革マル系労組の力が強いのでしょうか。
JR東日本の駅ではハングルと中国語表記が鬱陶しいほどありますが、マイノリティを採用しろという組合の圧力に対抗するものだ、という説を読んだことがあります。
九州新幹線の車内アナウンスは日韓英中の四ヶ国語なのに対し、JR西日本管内では日英のみになるとか、JR各社によって対応には違いがあるようですが。
駅のハングル表記など犯罪者の逃亡を手助けするだけではないか、という意見もありますが、JR御徒町で道に迷っていた韓国人観光客、ハングルのホテル案内の地図がなんと日本語表記のまま。
かわいそうなのでホテルまで案内しましたが、韓国の旅行サイトの手抜きぶりとともに漢字を読めない韓国人が気の毒にも思えました。
韓国では「地球の歩き方」シリーズも刊行されていますが、内容は韓国系のホテルやレストランを追加した程度でほぼ日本版と同じですから、世界中の観光地で日本人が行くところ韓国人もいるという状況。観光立国を目指すなら多国語表記も必要かもしれませんが、そうなるとアジア経済の成長とともにタイ、マレー・インドネシア、タガログ、ベトナム、インド系諸語と際限なくなります。
長野県小諸市では住民の2%弱が定住外国人で、定住外国人を含む16歳以上を対象にした「常設型住民投票制度」を盛り込んだ住民投票条例が昨年可決されています。その小諸市で販売されているゴミ袋、タイ語、ポルトガル語、英語、韓国語、インドネシア語、中国語、タガログ語、での注意書きがありました。
海外ではゴミの分別などほとんどしませんから注意書きが必要なのはわかります。もしも日本がTPPに加盟し、海外企業の入札参加や労働力の移動が自由化されたなら、日本全国の自治体で入札に関する英語の書類作成や多国語での市民サービスが要求されることになりかねません。
日本は日本人だけのものではない、という民主党に政権をまかせていたら本当に日本を壊しかねません。(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)いやはや、ご指摘のこと、もっと凄まじい現象ですよ。十月にマカオ、香港に滞在した折、どのレストランでも隣に座ったのが日本女性と思いきや、全部韓国女性でした。はじめは気がつかなかったのですが、卓上の『地球の歩き方』です。ハングル語表記でした。つまり韓国版は日本原板を翻訳しただけ、だからレストランで遭遇するわけです。
最近は現地の友人・知己に「地球の歩き方や、JTBのガイドブックに出ていない、現地人の行くレストランに案内して欲しい」と要望しています。
杜父魚文庫

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