8715 中国の対日戦略の核心 古森義久

雑誌SAPIOの連載で私は中国の軍事力増強をアメリカがどうみるのかを報告してきました。 最近では中国が軍事的に日本をどうみるのか、アメリカ側専門家たちの見解を紹介しました。
「アメリカの中国研究」第11回 対日戦略です。以下のような見出しの記事です。
「独特の不信と反発」
「微笑外交の裏に隠された『日本は民族的、歴史的に敵対する相手』
この記事のリードは以下のようです。
「軍事力増強を加速する中国にとって日本はどのような存在なのか。中国の反日プロパガンダは共産党一党独裁を維持するため、政治的に大いに利用されていることはよく知られているが、軍事戦略にも反日感情がしみ込んでいるという。
単に米国の同盟国としての日本を牽制するだけでなく、根底的に日本が軍事強国になることを懸念しているというのだ。「アメリカの中国研究」第11回では、中国の複雑な対日戦略を読み解く」
そして本文の一部は以下です。
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中国はとにかく日米同盟の強化には反対するということだろう。だが日本とアメリカをいつも一体にみる、というわけでもない。その点に中国の対日戦略の複雑さや難解さがあるといえる。ヘリテージ財団の首席中国研究員ディーン・チェン氏が語った。
「私が中国人民解放軍の高官たちと会食した際、ある将軍が『私たちはアメリカとは和解や協調を達成できるかもしれないが、日本とはそうはいかない、なお脅威なのだ』ともらすのを聞いたことがあります。
日本に対しては歴史的な特別の敵対意識が存在するというのです。領土問題ももちろんあります。そのうえに中国からすればアジア全体で自分たちに対して経済的、技術的に正面から競合や挑戦ができる国は日本だけです」
アメリカとは別個に日本を敵視する心情が軍事面にも反映されていくという指摘だった。
この点について国防総省の元中国が担当上級部長のダニエル・ブルーメンソール氏がもう一歩、踏み込んだ意見を述べた。
「中国側には日本に対して歴史上の認識、苦情、そして修正主義の激しい心情が存在します。日本に対する非常にネガティブな見方、中国は歴史的に日本に不当に侵害されたという非常に強い感情を基礎とする中国共産党のプロパガンダによって、一般中国人のその反日の心情があおられ、強められています。この過去の不当はいまや中国が日本より優位に立ち、日本を威嚇する能力を持つことによって是正されるべきだ、というわけです」
こうした怒りや恨みに彩られた対日観は現在の中国の軍事戦略にもどうしても反映されていくというわけだ。ブルーメンソール氏はさらに続ける。
「この種の反日感情、反日思考は中国内部の要所要所に存在する超ナショナリストたちの間で抱かれ、中国共産党が自党による一党支配を永続的に保つことの正当性を印象づけるために常に力説され、拡散されています。これは危険な現象です」
杜父魚文庫

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