すべてが破壊されていく中国は食文化の中枢もおかしくなったのか?中華料理の豪華メニューのフカヒレ・スープが攻撃標的となって中国人も驚いたが、フカヒレを中国へ輸出する日本も驚いた。
というのも「鮫の尾びれを食べるな」トカ環境保護、生態系保護、なんでも良いから理由をくっつけて食習慣を奪え! と活動家が上海にあつまって気勢を上げたのである。
日本は鯨を奪われた。中国もこれまでに熊の手、犬肉が事実上の禁止(旧満州へ行けば例外。犬肉レストランは大繁盛中)。熊の手を煮込んだ料理は、二年ほど前から事実上禁止になっている。衛生上の問題が主な禁止理由で、模擬の熊はある。しかし熊の手は満願会席料理には欠かせない逸品。なにしろ一ヶ月鍋で煮込んで柔らかくし、毒気を抜くのである。
広東ではハトの丸焼きは盛んだが、ハクビシンを食する店は表通りから消えた。開催予定だった「犬肉」試食会キャンペーンは中止された。
北京人の多くは、もはや犬肉を食べない。広東でも若い女性の好物だったフクロウの目玉(目が良くなるからと女性の人気の的だった)は下火となり、ハトの丸焼きも次の標的になるかも(だいたい日本の婦人団体は平和の象徴を食べる中国人をなぜ批判しないのか不思議であるが)・・・。
さてフカヒレである。
世界のフカヒレの30%の種類が滅亡したと言われ、大半が中国人の胃袋に消えた。中国はフカヒレの多くを日本から輸入している。東日本大震災直後には品物が払底し、プレミアムがつくほどだった。
2011年9月22日、上海で開催された「世界ワイルドエイド」大会の席上にバスケットボールの英雄選手が同席したことに中国人は驚いた。
豪華料理にフカヒレ・スープは欠かせない。殆ど誰もが好きだ。と思いきや。中国スポーツ界の英雄(ヤオミン=プロバスケット選手、「歩く万里の長城」と言われたほど長身)や、バージン・レコード会長のブロンソンらが記者会見し、「フカヒレを食べるのは野蛮、フカヒレ・スープを禁止しよう」と言い出したから大変な騒ぎに発展している。
内外からの食文化攻撃は初めてのことではないか。
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◆BOOKREVIEW ◆書評 ◇しょひょう ◇ブックレビュー ★
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杉原誠四郎『保守の使命』(自由社)
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いまごろ何故、杉原さんは『保守の使命』を説かれるのか?
本書を読むと納得がいく。保守は、その方向性を見失っているフシがあり、もう一度原点に立ち返るべきである。たとえば吉田茂を高く評価する人は体制擁護保守であっても、真の保守とは言えないのではないか。
本書の第七章は「大宰相」への疑問が呈せられる。憲法を楯にして、軍備を急がなかった吉田が経済を再建した源流とする評価は、評者(宮崎)など、昔からどうかと思うと考えてきたので、吉田をもっとも高く評価した高坂正堯氏らとは思想的にはあわなかった(ただし高坂さんは人間的には面白い人だったし、学生時代はよく世話になったが・・・)。
保守の定義を再構築しようとする著者は、西部遭、西尾幹二らの著作を俎上に、一方でハイエクなどの思想と哲学の流れを語り、リベラル思考を批判しつつ、要点をまとめ上げる。著者の杉原氏は「新しい歴史教科書をつくる会」会長。ながらく教職にあって教育現場で左翼と闘ってきた。
杉原氏はまずこう言う。
「1989年『ベルリンの壁』が崩壊し、その後ソ連が崩壊し、マルクス主義が政治的実践のためのかつての説得性を失うと、左翼的な社会破壊的行動はその正当性の根拠を失った。しかし、である。左翼の人たちは、それまでに慣れ親しみ培ってきた国家や社会に対する破壊性のある嘗ての行動様式を改めなかった。
従来、マルクス主義によってある程度に正当化できていた社会破壊的行動を心理的に正当化しないままに行うようになった」だから本書は保守のみならず左翼の人にも読んで欲しいのである、という。
ざっと通読して、本書では中国のまとめが興味深かった。
「中国の政権のその在り方は、国民の委託という民主主義的手続きを経ていない独裁国家、つまり国民の委託とは関係なく究極的には武力的実力のみによって成り立っている覇権国家である。その結果、民主主義国家では必要としていないところの覇権政権の維持という目的のため政策を進めるという構造がどうしても残る」
しかし「トウ小平は共産党独裁政権のまま経済を市場経済化する改革開放路線を採用し、その後目を見張る経済成長を続けているが、しかし、独裁政権の下で国民の自由を前提とする経済開放路線は本来において矛盾であろう。国民に自由と秩序を与えれば経済は自然に成長するものであって、このときは中国にとって、経済の自由化ではなく政治の自由化こそが課題だったのである」
杜父魚文庫
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