8734 中国、三年ぶりに預金準備率を0・5%引き下げ 宮崎正弘

市場に610億ドルの資金余裕、不動産暴落を食い止める効果ありや?11月30日、中国人民銀行は預金準備率をリーマン・ショック以来三年ぶりに引き下げた。不動産価格下落ならびにデベロッパーの倒産を回避させるために、つなぎ資金の提供が主な目的とされる。
理論的数値を計算すれば、0・5%の引き下げは610億ドル(3900億元)の通貨供給が見込まれる。
とはいえ、預金準備率は21%で高止まりしており、香港のHSBC,スタンダードチャータード銀行などは、「一月に再度、切り下げがあるだろう」と予測している(ウォールストリートジャーナル、12月1日)。
さて、この決定は西側六カ国中央銀行のドル資金提供共同声明の数時間前に行われたところに奇妙な符丁がある。
当然、中国の金融情報筋は、FRB、ECB,スイス、英国、カナダ、日本が資金供給の協調体制を組むという動きを確実につかんでいて、先取りに動いたと考えられる。
しかし中国の中央銀行が西側と同じ動きを過去にしたことがない。
直前までにも王岐山・副首相は中国の金融緩和の可能性をしばしば発言してきた。景況感が50%を割り込み、沿岸部の製造業に倒産が顕著となって、ここのユーロ危機による欧米経済の沈降が加わり、中国としては、さらなる通貨供給拡大に迫られている。
杜父魚文庫

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