8739 年賀状は欠礼するつもりだったが・・・  古沢襄

十二月の声を聞くと寒さがひとしお。NHKテレビで温泉につかる猿の群れを放映していた。夏は四時半になると私を起こしにきていた愛犬・バロンも六時半になってもベッドの布団の上で寝ている。二〇〇六年三月生まれだから五歳、人間並の年齢にすると三十五歳だからまさに壮年なのに・・・。
これで三代目のコーギー犬なのだが、初代のチロ、二代目のバロンは十二歳で死んだ。いまのバロンもあと七年は生きるだろう。その時に私も女房も八十七歳、女房は別として私はあと七年生きる自信はない。
政治部時代に一番親しかった毎日新聞の江口宏さんから「年賀など世間との付き合いは止めにさせていただくべくお知らせする次第」と丁重なハガキを頂戴した。旧制の佐賀高校の出だから八十五歳。私より五年先輩だった。
私も八十歳になったのを機に年賀状は欠礼する知らせを出すつもりでいた。だが、江口さんに先を越されたので、二〇一二年は思い切って枚数を減らすことだけにした。人知れずポックリ死んでしまうのが理想的な人間の死に方だと思っている。
杜父魚文庫

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