8754 北朝鮮との関係清算が条件 古沢襄

「ミャンマーは北朝鮮と手を切るのか」という興味深い記事が韓国の朝鮮日報に出ている。ミャンマーを訪問した米国のヒラリー・クリントン国務長官が、ミャンマーの行政首都ネピドーでテインセイン大統領に対して「米国との関係改善を望むなら、北朝鮮との関係を清算すべき」と迫ったという。
ミャンマーと北朝鮮の関係は、過去にも国交断絶に至ったことがある。一九八三年のことになるが、ミャンマーを訪問した韓国の全斗煥〈チョン・ドゥファン〉大統領を狙った爆弾テロが発生、四人の韓国閣僚、二人の大統領補佐官と韓国大使が即死した。到着が遅れた全斗煥は九死に一生を得ている。
当時のビルマ(ミャンマー)政府の動きは早かった。北朝鮮と友好関係にあったビルマだったが、容疑者である北朝鮮軍将校らを逮捕、そのうちの一人、カン・ミンチョル大尉は全面自供して爆破計画が平壌で計画されたと述べた。
北朝鮮は爆破事件への関与を全面否定したので、ビルマ政府は駐在している北朝鮮外交官をすべて追放、北朝鮮とビルマの外交関係は断絶した。
二〇〇七年から両国は国交を回復したが、ミャンマーの北朝鮮に対する疑念は晴れていない。北朝鮮はミサイル技術や通常兵器の取引を行うなどしてミャンマーとの接近を図っている。クリントン長官はミャンマーが北朝鮮との関係を精算することを条件に米国との関係改善を提案した。
<米国のヒラリー・クリントン国務長官のミャンマー訪問を契機として、北朝鮮の数少ない友好国リストから、ミャンマーが消えるかもしれないという見解が持ち上がっている。
クリントン国務長官は1日、ミャンマーの行政首都ネピドーでワナマウンルウィン外相と会談し、テインセイン大統領を表敬訪問した。米国の国務長官として1962年以降、初めてミャンマーを訪問したクリントン長官は、両国関係の改善を図るにはミャンマーが北朝鮮との「いかがわしい関係」を清算しなければならない、という意向を表明した。
米国国務省の高官は先月30日、ブリーフィングを通じ、クリントン長官のミャンマー訪問では北朝鮮問題が主な議題になると伝えた上で「われわれは主に、北朝鮮とミャンマーとの関係に焦点を合わせる。ミャンマー側も、北朝鮮と関連して検討中の措置について、真剣に言及してきた」と語った。
ミャンマーは83年に北朝鮮が「ラングーン事件(1983年に当時の全斗煥〈チョン・ドゥファン〉大統領がミャンマーのアウンサン廟〈びょう〉を訪問した際、これを狙って北朝鮮が起こした爆弾テロ)」を起こして以来、外交関係を断絶していたが、07年に国交を回復した。
ところが両国はこれ以前から、ミサイル技術や通常兵器の取引を行うなど、親密な関係を維持してきた。フランスの日刊紙ル・モンドは今年10月、両国が武器と食糧を交換し、長期にわたって軍事分野で技術協力を行っており、ヤンゴンの中心街には「平壌高麗レストラン」という名前の北朝鮮料理店もオープンしたと報じた。このほか、06年10月に核実験を行った北朝鮮が、ミャンマーに核技術を伝えようと試みたという疑惑も浮上している。
ミャンマーが米国との関係改善に向けて積極的に乗り出し、北朝鮮との関係を清算する場合、北朝鮮にとっては少なからぬ打撃となる見込みだ。東南アジアの「拠点国家」を失うことになるからだ。(朝鮮日報)>
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