十二月十二、三日の予定だった野田首相の訪中日程が延期となった。十三日が日中戦争中に中国の南京であったといわれる「南京事件」の日に当たるので、反日感情が高まりをみせるのを避けたいという中国指導部の意向があったといわれる。
ほぼ固まっていた首相の訪中日程が直前に延期になるケースは異例である。74年目に当たる南京事件のことは最初から分かっていたことなので、中国側は野田首相からあらためて謝罪の言葉を引き出す思惑があったのではないか。日本側が首相訪中と南京事件を結びつけることに難色を示した可能性がある。
来年は日中国交正常化四〇年という節目の年となる。アジアの大国である日本と中国が戦略的互恵関係を深化させることが必要だが、南京事件という歴史問題がその度に持ち上がるところに日中関係の難しさがある。
<政府は、来週予定していた野田総理大臣の中国訪問を延期したことを受けて、日程を再調整する方針です。ただ、延期の背景には、訪問が「南京事件」の日と重なるのを避けたいという中国側の意向があったのではないかとみられ、歴史問題を巡る日中両国の溝の根深さが、改めて浮き彫りになりました。
野田総理大臣は、来週12日と13日の2日間、就任後初めて中国を訪れ、胡錦涛国家主席らと会談する方向で調整していましたが、中国側から訪問を延期できないかという打診があり、日中両政府が協議した結果、訪問を延期することになりました。
延期の背景について政府関係者は、12月13日が、日中戦争中に中国の南京で、日本軍が市民を殺害したり、暴行や略奪を行ったりしたとされる「南京事件」から74年に当たるため、野田総理大臣の訪問がこの日と重なることで、中国国内の反日感情が高まりをみせるのを避けたいという中国指導部の意向があったのではないかとみています。
政府は、野田総理大臣の中国訪問を、年内に実現させる方向で日程を再調整する方針ですが、ほぼ固まっていた総理大臣の外国訪問の日程が延期されるのは異例のことで、歴史問題を巡る日中の溝の根深さが改めて浮き彫りになりました。
政府は、日中国交正常化40年となる来年、両国の戦略的互恵関係を深化させたいとしていますが、関係の改善にあたっては、こうした歴史問題をはじめ、両国の国民感情の改善が課題になりそうです。(NHK)>
杜父魚文庫
8758 首相訪中延期 歴史の溝浮き彫りに 古沢襄

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