中国共産党政権の人権弾圧ぶりに改めて光を当てる公聴会がありました。日本政府が中国当局の圧力に負けて、北朝鮮からの難民を助けないと「誓約」したのとは対照的です。
しかしそれでもなおアメリカの議員や中国出身の活動家たちからはオバマ政権への批判が出ました。
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〔ワシントン=古森義久〕米国の立法、行政両府が合同で中国の人権状況を調査する「中国に関する議会・政府委員会」は6日、中国の民主活動家の劉暁波氏のノーベル平和賞受賞から一年を記念する公聴会を開いた。議員と証人の両方からまだ中国当局に拘束されたままの劉氏の解放を求め、中国、米国の両政府を批判する声が続出した。
同公聴会ではまず冒頭に同委員会の委員長のクリス・スミス下院議員(共和党)が「劉氏へのノーベル平和賞が本人欠席のまま授与されてちょうど一年が過ぎたが、中国政府の民主活動家への弾圧は変わらず、同氏はなお拘束され、米国と国際社会はその状況の改善のためにこの一年、最善を尽くしたかは疑問だ」と問題を提起した。
証人では中国社会を研究するカリフォルニア大学教授のペリー・リンク氏が「中国政府は経済力の強大さを武器に傲慢な抑圧をなお続け、劉氏の家族をも弾圧している」と指摘した。国際的な人権擁護団体「中国人権」の米国在住代表の李暁蓉氏は「中国当局が劉氏の言論活動を国家転覆罪と断じ、11年もの懲役刑に処したことは中国自体の刑法にも違反している。同氏は家族との面会も許されていない」と証言した。
米国の半官半民の人権擁護団体「全米民主主義基金」のカール・ガーシュマン会長も「中国の政権は統治への政治的な正当性を有さないまま統治を続けているため、劉氏のような正当性を説く人物を強制的に沈黙させている。インターネットの普及が独裁政権を崩すことを期待したい」と述べた。
天安門事件での学生運動の指導者の一人で現在は米国を拠点
中国内部のキリスト教信徒の支援をしているボブ・フー牧師は「今年に入っての11ヶ月で中国の11省と3自治区で合計30ヶ所の地下教会が弾圧され、300人以上の信者が逮捕された」と報告した。
同じ天安門事件の民主活動リーダーで現在、米国で中国政権への抗議を続けている紫玲氏は「オバマ政権は小国の人権弾圧は正面から非難するが、中国には遠慮しており、明らかな二重基準だ」と述べ、オバマ大統領らの「人権を中国との経済や安保の課題に介入させることはできない」というかつての発言を引用して、批判した。この「二重基準への非難」には委員会側のティム・ウォルツ下院議員(民主党)も同調し、「米中関係の安定の名の下に人権問題を無視してはならない」と述べた。
杜父魚文庫
8780 オバマ政権の中国への甘さ 古森義久

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