外交・内政ともに“袋小路”に入った野田政権。一月に訪米しオバマ米大統領との首脳会談も見送り、十二月訪中の日程も延期されたままである。
参院で問責決議を受けた一川保夫防衛相と山岡賢次消費者担当相を更迭せずに来年の通常国会を迎えるのは至難の技であろう。消費増税に反対する民主党の造反も高まりそうである。新しい年は大荒れの政局含み、解散・総選挙が近いと永田町雀が噂している。
<野田佳彦首相は、来年1月で調整していた公式訪米の見送りを決めた。複数の日米関係筋が明らかにした。来年11月の米大統領選に向けた動きが年明け早々から加速する米側の事情や、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際、首脳会談を行ったばかりであることを踏まえ、双方の日程が厳しい1月にあえて訪米する必要はないと判断した。
首相は、国連総会やAPEC出席の際、訪米してオバマ大統領と会談したものの、2国間会談を主目的にした訪米はしていない。そのため、1月の通常国会開会前に民主党政権初の公式訪米を実現したい考えだった。
しかし、米国では1月3日、共和党の大統領選候補者選びの皮切りとなるアイオワ州の党員集会が開かれ、大統領選を巡る動きが本格化する。支持率低迷に悩むオバマ大統領は国内政治に力を注がざるを得ず、「首相を迎える環境にはない」(日本政府関係者)という。
また、11月の首脳会談で首相が、米側が強く求めた、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加▽米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題の進展▽米国産牛肉の輸入規制緩和--などに一定の回答をしたことも見送りにつながった。通常国会の会期前半は、長期間の海外出張が難しく、公式訪米は来春以降になる見通しだ。(毎日)>
<<野田とうとう“袋小路”1月国会“大荒れ”で一気に政局へ>>
<野田佳彦首相が9日、参院で問責決議を受けた一川保夫防衛相と山岡賢次消費者担当相を続投させる考えを表明した。野党は一斉に反発し、来年1月の通常国会の審議拒否をちらつかせ、財務省主導で野田首相が政治生命をかける消費増税の協議にも応じない方向だ。政局運営は極めて厳しく、大荒れ政局に突入する可能性が強い。
「担当分野には懸案が山積しており、襟を正して職務遂行に全力を挙げてほしい」。野田首相は9日夕の会見で2閣僚の更迭を否定。民主党の輿石東幹事長も辞任の必要はないとの認識を示した。
政府・与党首脳には、問責による「辞任ドミノ」を回避したい思惑のほか、通常国会冒頭では2011年度第4次補正予算案の審議を想定しているため、「続投のまま強行突破しても、野党はいつまでも審議拒否できない」(官邸筋)と足元を見ている側面もある。
しかし、自民党は「2閣僚の下での委員会運営に応じない」(岸田文雄国対委員長)、公明党も「首相の対応が不誠実なら審議に応じることはできない」(山口那津男代表)と2閣僚が続投した場合の審議拒否を明言。共産を除く野党各党も同調する方針。
また、野田首相は消費増税について、年内に民主党の素案をまとめたうえで、早ければ年明けから野党との協議に臨みたい考えだが、問責を無視すれば「こちらの言い分は聞かず、都合のいいときだけ協力してほしいというのはありえない」(自民党中堅議員)として野党が協議に応じないのは確実だ。
消費増税をめぐっては、民主党内にも小沢一郎元代表ら反対勢力が勢いを強めており、亀裂が深まりつつある。一方で、内閣改造で2閣僚を外す案も根強い。菅直人首相(当時)が昨年11月に問責決議を受けた仙谷由人官房長官らを今年1月に交代させたのと同様の手法だ。
しかし、政局の安定化に効果があるかは不透明だ。民主党中堅議員は「外された仙谷氏はこの後、自民党との大連立を模索するなど菅降ろしに走った。野党からの追及も収まらず支持率下落は続いた。一川、山岡両氏は小沢元代表に近いだけに、外せば消費税増税に反対する小沢系のいやがらせが加速する。守るも地獄、斬るも地獄だ」と話しており、政権運営は厳しくなるばかりだ。(ZAKZAK)
杜父魚文庫
8782 訪米・訪中見送り、“袋小路”の野田首相? 古沢襄

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