8784 民主執行部、消費税の党内対立で先送りの動き 古沢襄

予想されたことだが、消費増税をめぐる民主党内の対立は抜き差しならないところにきている。ミスター財務相の野田首相は不退転の決意を示すが、増税に反発する小沢元代表の反対姿勢があらわとなった。両者の間に立つ輿石幹事長だが、ここにきて増税素案は政府が決めるもので、党側はそれに縛られない、との姿勢をみせだした。
増税をめぐる党内対立をできるだけ先送りしようとする動きとみられている。当面の党内対立を回避する苦肉の策といえるが、結局は増税の時期を先送りするのではないか。
<民主党執行部内に、消費税増税に関する党内対立をできるだけ先送りしようとする動きが出ている。
野田首相は、消費税率引き上げを具体化する社会保障・税一体改革の素案を年内をめどにまとめる考えだが、党内には増税慎重論があるため、執行部は当面の対立回避を模索している。
政府は一体改革の素案を年内をめどにまとめ、年明けに与野党協議を行ったうえで、一体改革大綱を閣議決定する方針だ。その後、3月末までに消費税率引き上げの関連法案を国会提出する段取りを描いている。
ポイントとなるのは素案の扱いだ。素案は大綱の下敷きとなるもので、これまでは、内容的に政府と党が一致するものだと受け止められていた。だが、輿石幹事長ら執行部はここへ来て、素案は政府が決めるもので、党側はそれに縛られない、との姿勢をにじませている。
輿石氏は最近、周辺に「素案の書きぶりは政府が決めることだ」と述べた。樽床伸二幹事長代行も9日の記者会見で、「素案段階で党の意見が決まるものではないと思っている」と語った。素案の段階では当面、政府と党が意思統一を図る必要はないとの考えを示したものとみられる。
背景には、増税に反発する小沢一郎元代表が「財源が足りないから消費税率を上げるというのでは、国民は納得しない」と首相を批判するなど、党内に消費増税に反対する勢力がいる事情がある。また、今後の対野党協議をスムーズに進めるためにも、素案はまだ政府・民主党の一致した最終案でない、と位置づけることで、のりしろを残す思惑もありそうだ。(読売)
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