黄海の排他的経済水域(EEZ)で不法操業していた中国漁船の取り締まりに当たっていた韓国の海洋警察官が漁船船長に刺されて死亡した。韓国政府は中国に対して中国政府に対し激しく抗議、メデイアも大々的に報じている。
海洋警察は、船長を含む船員9人を仁川へ連行し、公務執行妨害容疑で調べる方針。支持率が低下している李明博(イミョンバク)政権にとって安易な妥協は許されない。中韓関係が悪化する可能性がでてきた。
<【ソウル聯合ニュース】韓国の排他的経済水域(EEZ)で不法操業中の中国漁船取り締まり中に韓国の海洋警察官2人が漁船船長に刺されて死傷した事件で、韓国政府は12日、中国政府に対し激しく抗議するとともに、再発防止を訴えた。
外交通商部の朴錫煥(パク・ソクファン)第1次官は同日早朝に起こった事件について、張シーソン中国大使を呼び、「あってはならないことだ」と抗議した。また「中国政府が不法操業や船員の違法行為を徹底的に取り締まり、同様の事態が起こらないようにしてほしい」と要請した。
これに対し、張大使は事件に対し遺憾の意を示した上で、事件を迅速に解決するためにビデオ資料などを提供してほしいと韓国政府に要請した。張大使は、中国の中央政府や沿岸部の省政府が漁業従事者に対する期教育を強化しているにもかかわらず事件が起こったと釈明。両国間の協力を一層強化する必要があることを実感したと述べた。
この日、韓国政府は李揆亨(イ・ギュヒョン)駐中国大使を通じても、中国政府に同様の抗議を行った。
黄海では、武装した中国漁船が韓国の漁場を荒らし、巡視船の取り締まりに抵抗するなどするトラブルが多発している。韓国政府は、今月5日に漁船の不法操業に対応する外交当局の協議体設置を中国に提案。同8日には、張大使を呼び中国漁船による不法操業問題が両国の関係に悪影響を与えないよう協力してほしいと伝えていた。
韓国の外交当局者は「中国政府が徹底した措置を取るよう、あらゆる手段を尽くす。両国は緊密に協議していく必要がある」と述べた。
一方、外交通商部の金星煥(キム・ソンファン)長官はこの日、事件で亡くなった40代の警察官を追悼するため仁川市にある病院の霊安室を訪問した。(聯合)>
<仁川市甕津郡の小青島南西85キロの海上で12日午前7時ごろ、違法操業の取り締まりに当たっていた海洋警察官が中国漁船の乗組員にガラス片で腹部を刺され、死亡した。
当時、仁川海洋警察署所属の警備艇(3005艦)は違法操業中の中国漁船を発見。同漁船が警告放送に耳を傾けようとしなかったため、韓国海洋警察の特攻隊員はこれを拿捕(だほ)しようと、2台のボートに乗り込み接近した。この際、イ・チョンホ警長(日本の巡査部長に相当)をはじめイ巡査ら8人ほどが先頭に立った。これに対し、9人の漁船乗組員は凶器を振り回すなどして激しく抵抗。
漁船の船長A容疑者は操舵室のドアにカギを掛け、漁船の進行方向を北に変えようとしたが、イ警長らに取り押さえられた。このとき、おとなしく特攻隊員の指示に従っていたかに見えたA容疑者が突然窓を割り、ガラス片を振り回した。
イ警長らは防刃チョッキを着用していたが、乗組員側は防護されていない部分を狙って刺したものとみられる。
脇腹を刺されたイ警長はヘリコプタ―で仁荷大学病院に搬送されたが死亡。関係者によると、死因は出血多量などによるものとみられるという。腹部を刺されたイ巡査は手術を受ける予定だが、命に別状はないとのことだ。事件の報告を受けた海洋警察庁長は、仁荷大学病院に駆け付け、哀悼の意を表した。(朝鮮日報)>
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