しかし振り込め詐欺の知能犯は深く静かに日本社会に浸透。表向きの暴力団的な中国人マフィアは日本から消えた筈だった。
旧満州の残留孤児二世、三世らが組織した「ドラゴン」は、暴走族を中心に1997年、江戸川区葛西で産声を上げた。
かれらのルサンチマンは「中国で日本人と差別され、日本にくれば中国人といわれ」、社会からドロップ・アウト、不良少年団となって恐喝、窃盗、強盗団などの悪さに励んだ。
在日三世の代になって、ドラゴンは再活性化していた。ボスは羹海峰と呼ばれる暴れん坊。四月に都内湯島の店舗に殴り込み、従業員らに重傷を負わせたとして指名手配されていたが、12月5日に「殺人未遂」「銃剣等不法所持」容疑で警視庁が逮捕していた。
羹が組織したドラゴンは構成員が250名とされ、漢字名は「怒羅権」。つまり「怒」は彼らの憤怒を意味し、羅は「団結」、権は諸権利を象徴する。この銘々は、しかしながら、いかにも在日中国人的である。北京語の発音なら「ヌラチュン」でドラゴンとは発音しないからだ。
在日華字紙の『陽光導報』(12月8日号)は、「かれらは日本における疎外感に襲われ、そういう孤独な仲間が群れあう。日本人が彼らを不良と差別するため、ますます組織的犯罪に走りやすい」とやや同情的な分析をしている。
しかしドラゴンはそもそも中国的特質を内在させており、内部対立が激しく、内ゲバを屡々繰り返してきた。
▲在日華人マフィアの内ゲバは凶暴化する
1997年に初代ドラゴンが組織されたが、2006年に一度解散していた。「現在の新ドラゴンは、2008年に組織化されたもので、日本の山口組、住吉会、稲川会、工藤会など暴力団と関係がある」(同前掲陽光紙)。
一方、上海系、福建省系、広東系が入り乱れる在日華人の本格的マフィアは、知能犯が主流で、振り込め詐欺の不正口座は80%が中国人名義であることが判明している。
振り込め詐欺の電話は中国から発信されているケースが多く、また銀行口座の開設や転売、電話番号の売り買いなど、使い走りは日本人が多い。
日本社会に静かに悪知恵を駆使して浸透する中国人マフィアは、ドラゴンなど旧満州残留講孤児の二世、三世らとの接点が希薄である。
90年代までは残留孤児の二世、三世は日本の永住権が持てたので、その利点を生かして他省出身のマフィアより幅をきかせた。
福建省、広東省のマフィアなどは一時新宿歌舞伎町を「華武器」町に変えたほど凶暴だったが、あらかたが強制送還された。残留孤児グループは強制送還の懼れがなかったし、いまもない。
ところが近年は日本外務省がビザ条件を大幅に緩和し、インチキ留学生を黙認し、或いは観光目的の来日許可を認めたばかりか、無数の中国人が日本人配偶者と結婚して日本籍を取得し、あるいは帰化しており、嘗ての残留孤児優位という環境が希釈されたからである。
両者は、日本において基本的に対立している。今後も中国人マフィア同士の内ゲバは凶暴化してゆくと予測される。
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読者の声 どくしゃのこえ DOKUSHANOKOE 読者之声
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(読者の声)貴誌前号の広東省暴動。陸豊海豊といえば共産党運動発祥の地の1つ。確か汕尾は90年代初頭、タイの米輸出最大手のスンホワセン(順和成)が製紙ビジネスに進出するための植林用に広大な土地を購入したはず。
ところで「軽生図頼」という死んだ農夫の死体を担いでの抗議はなかったでしょうか。小生の知る範囲では、あちらこちらで「軽生図頼」が盛んに行われているようですが。もっとも文革時ですら、敵対組織に惨殺された紅衛兵の死体をこれみよがしに担いでデモし、敵の悪辣さ反人民性を盛んに訴えていました。
それしても共産党が末端で頼る地方幹部が生来のゴロツキですから、もう処置なし。ゴロツキと手を切れば共産党の統治は末端から壊死。ゴロツキに頼らなければ維持できない。
これが共産党というより王朝統治を含め中国政権の宿命であり本質とみなすべきでしょう。(KH生、所沢)
(宮崎正弘のコメント)日本で『暗躍』する中国人マフィアも、そのようなキャラが確かにありますね。
杜父魚文庫
8800 在日中国人マフィアの最大組織「ドラゴン」のボスを逮捕 宮崎正弘

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