8866 AP写真でみる朝鮮人民軍幹部の序列 古沢襄

米AP通信社が二十九日に配信した金正日総書記追悼大会のひな壇写真が参考になる。平壌の金日成広場を10万人の軍人や市民が埋め尽くしたが、ひな壇の中央に立った金正恩の左側に朝鮮人民軍の幹部らが顔を揃えた。
その序列は①李英浩(リ・ヨンホ)朝鮮人民軍総参謀長②金永春(キム・ヨンチュン)人民武力部長③李勇武(リ・ヨンム)国防委員会副委員長④呉克烈(オ・グッリョル)国防委員会副委員長⑤金己男(キム・ギナム)朝鮮労働党中央委員会政治局員・書記局書記⑥張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長・・・となっている。
北朝鮮軍部内では張成沢の力はまだ強くない。李英浩とのタッグを組むことに力を蓄えている過程にあることをAP写真が語っている。
やはり朝鮮人民軍内では抗日パルチザン世代といわれる八十歳以上の軍幹部が依然として力を持っている。
一九三二年生まれ八十歳の金永春は金正日総書記の側近中の側近といわれた。人民武力部長(国防相)として健在で、李英浩に次ぐ位置にある。
李勇武は一九二三年生まれだから八十九歳。朝鮮人民軍次帥、国防委員会副委員長で二〇〇九年に最高人民会議常任委員会の委員長に再選された。歴とした政治将校出身で朝鮮人民軍の最古参といえよう。
一九三一年生まれの呉克烈は八十一歳。ソ連に留学してソ連空軍大学を卒業。空軍司令官から一九七九年に軍総参謀長に就任したが、一九八八年に突如、解任された。金正日総書記による解任といわれたが、二〇〇九年に国防委員会副委員長に返り咲いた。
典型的な現場型の軍人で、呉克烈をよく知る朝鮮人民軍出身の脱北者は「呉氏は非常に頭が良く、実行力もあるため、野戦部隊の軍人たちから尊敬されている」と褒める。空軍出身者らしく旧ソ連軍の軍事システムと連携した朝鮮人民軍の近代化を主張した。
張成沢が中国の人民解放軍との連携強化を急ぎ過ぎると朝鮮人民軍内に残っているソ連・ロシア派との摩擦が生じるかもしれない。
金己男は一九二九年生まれ、八十三歳。ソ連のモスクワ国際大学へ留学、帰国後、朝鮮労働党に入党。一九七六年に労働新聞社の責任主筆、党宣伝扇動部長を経て二〇〇一年から思想教育担当書記となった。二〇一〇年に党政治局員・書記に選出。金基南(キム・ギナム)ともいう。
杜父魚文庫

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