8898 そろりそろりの「漸進主義」は何もしないと同じ  豊田祐基子

「”共犯”の同盟史」(岩波書店)の著者・豊田祐基子さんが、シンガポールからお年賀のメールを送ってきた。「シンガポール駐在もはや3年目に入り、熱帯のお正月とやらにもようやく違和感を感じなくなりました」とあるが、そろそろ帰国する頃だろう。
日本の戦後防衛政策「漸進主義」について「最初は全部禁止をしておいた後で出来るところだけを例外扱いにして進むこのやり方こそが何も決断しないことの言い訳」というのは、彼女らしい厳しい見方である。「状況に押されるようにして、そろりそろりと進む手法はTPPなどでも同じ」と喝破している。
野田首相をみていると、まさにこの手法でソロリソロリと前に進もうとしている。超大国アメリカ頼みの外交政策はいつまで続くのであろうか。
<<明けましておめでとうございます。お元気ですか?シンガポール駐在もはや3年目に入り、熱帯のお正月とやらにもようやく違和感を感じなくなりました。
さて、日本の戦後防衛政策について「漸進主義」とはよく言ったものです。多くの研究書では、憲法と日米安保との緊張関係、そして国会での自社対立の構図を考慮すれば、一見俊足のウサギより「気がついたら進んでいる」カメの方が賢明かつ日本の政治体質に適合しているという評価になっています。
しかし、最初は全部禁止をしておいた後で出来るところだけを例外扱いにして進むこのやり方こそが何も決断しないことの言い訳なのではないかと思うようになりました。
むしろ、いまや本当にしたいことなどないのかもしれません。状況に押されるようにして、そろりそろりと進む手法はTPPなどでも同じで、アジアは日本がどこに進んでいくのかを注視しています。

米国の国力の衰退が自他ともに認めざるをえない段階に到達したいまは、米国の意志のみを針路を決める指標にはできないからです。
本当の苦難は震災を経たここから始まるのかもしれませんね。古澤さんの鋭い時勢分析を是非、直接お聞きしたいものです。また、お会い出来る日を楽しみにしております。>>
杜父魚文庫

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