8926 改造効果見られない珍しいケース  古沢襄

野田改造内閣の国民評価はあまり芳しくない。各社の世論調査が出ているが、読売は5ポイントの下落、他も横ばいと、消費増税シフトに厳しい目を向けている。
改造の目玉になった岡田副総理兼一体改革相の起用を「評価する」声は多いが、田中防衛相の起用は評判が悪く、低迷する内閣支持率の一因となった。真紀子さん効果を狙った人事は裏目に出た。
安倍内閣以降、改造に踏み切れば支持率は全て上昇。中には10ポイントを超える高い増加率もあり、改造効果が見られなかった今回は例外的ケースと言えそうだ(産経)と手厳しい評も出ている。
<野田改造内閣の発足を受け、読売新聞社は13日から14日にかけて全国世論調査(電話方式)を実施した。
内閣支持率は37%で、前回調査(昨年12月10~11日実施)の42%から5ポイント下がった。不支持率は51%(前回44%)に上昇して初めて5割を超え、2か月連続で支持率を上回り、支持率下落に歯止めがかからなかった。今回の内閣改造を「評価しない」は49%で、「評価する」35%より多かった。
改造内閣の顔ぶれについては、岡田副総理兼一体改革相の起用を「評価する」は52%で、「評価しない」35%を上回った。田中防衛相の起用を「評価する」は19%にとどまった。
年金など社会保障制度の財源として消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%まで引き上げるとする政府・与党案に「賛成」は39%で、「反対」55%を下回った。(読売)
野田佳彦首相が「政治生命を懸ける」消費増税。13日の内閣改造で、首相がその推進役に選んだのが岡田克也副総理だ。民主党の反対勢力や野党を説得し、通常国会で関連法案を成立させるには、かねて信頼を置く岡田氏を閣内に取り込み、二人三脚で逆風に立ち向かうしかない-。首相がこう判断し、岡田副総理実現に動きだしたのは昨年12月のクリスマスイブだった。岡田氏入閣までの舞台裏を探った。
昨年の臨時国会で、一川保夫前防衛相と山岡賢次前消費者担当相が問責決議を受けた。2人が交代しない限り通常国会の審議に応じないと、野党が主張している以上、首相は表向き否定しながらも、内閣改造はやむを得ないと早々に腹を固めていた。
臨時国会の主導権を野党に奪われ、法案処理で実績を上げられなかった平野博文前国対委員長も含め、12月中旬には党幹部に「平野氏と2閣僚は代える」と話した。
首相は同24日、輿石東民主党幹事長、藤村修官房長官と公邸で会談した。消費増税を含む社会保障と税の一体改革素案取りまとめに向けた腹合わせのためで、党行政改革調査会長に就いたばかりの岡田氏も同席した。9月の野田内閣発足時に官房長官就任の打診を断った岡田氏だが、かねて消費増税の必要性を唱え、折に触れて首相の相談に乗っていたからだ。
首相はこの場で、年明けに2人の問責閣僚を交代させる考えを伝えた。しかし、閣僚のドミノ辞任を懸念する輿石氏は「2人だけの交代は駄目だ。それは改造でなくて交代だ」とクギを刺した。民主党を代表する「顔」の一人であり、野党とのパイプもある岡田氏。首相はその力を借りたいとの思いを4カ月前から持ち続けており、輿石氏の発言をきっかけに、岡田氏入閣の構想が事実上固まった。
28日には、消費増税に反発した小沢一郎元代表に近い議員らが集団で離党届を提出した。元代表の党員資格停止処分を主導した岡田氏の入閣は、離党者をさらに増やしかねないが、首相は「出て行く人には出て行ってもらっていい」と覚悟を決めた。
年が明けて今月6日夜。首相は入閣を打診するため、岡田氏を首相公邸に裏口から招き入れた。岡田氏は入閣要請を察し、「官房長官は困るよ」と珍しく冗談を言いつつも、「首相が考える一番いい形になるなら結構だ」と前向きの姿勢を示した。首相が「副総理と一体改革、行政改革をお願いしたい」と要請すると、岡田氏も受け入れた。
その後、岡田氏は「創作と空想の世界だ」などと記者団をけむに巻き続けたが、副総理就任への決意は揺るがなかった。11日夜は、以前からの約束通り、東京都港区のスポーツジムで藤村氏と汗を流した。藤村氏は、マスコミに追い回されている岡田氏に気を使って「延期しますか」と持ち掛けたが、岡田氏は「予定通り行こうよ」と意に介さなかった。一度決めたらやり通す「原理主義者」の岡田氏らしい対応で、ジムでは政権運営について意見を交わすことはなかった。(時事)>
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