アメリカ大統領選挙の読み方です。日本ビジネスプレスの私の連載コラム「国際激流と日本」からです。原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34372
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今回の2012年の選挙でも、この「リベラル」対「保守」、「大きな政府」対「小さな政府」というイデオロギー上の対決が顕著である。
オバマ大統領の支持率低下についても、日本の大方のメディアは「経済運営の不手際からの失業率の高まり」を最大の原因に挙げている。攻撃する共和党側の姿勢についても、日本の主要メディアはオバマ政権下での高失業率を最大の争点にしているかのように報じている。
だが、実際に共和党側が最大の攻撃の矛先を向けているのはオバマ大統領の超リベラル「大きな政府」政策なのである。国民の諸問題への対処に、とにかく連邦政府の役割を拡大しようとするリベラリズム政治こそが非難の最大標的なのだ。
共和党は、オバマ大統領の施策を、国家の権限を肥大させる「社会主義的統治」とまで断じて、思想や理念の対決を挑んでいるのである。
こうした今回のイデオロギー面での対決は、まさに80年、共和党保守のレーガン氏が民主党リベラルのカーター氏に挑んだ戦いの内容と同じだと指摘する向きが多いのだ。
選挙結果は日本の国のあり方にも影響を及ぼす
ちなみに、今、米国で展開される「大きな政府」か「小さな政府」か、の争いの帰趨は日本を含む他の主要諸国にも意味するところが大である。
ヨーロッパではギリシャ、イタリア、スペインなどの政府の財政破綻は「大きな政府」策の政府支出過剰の失敗を証明した。だからこそ米国の保守派は「小さな政府」の効用に熱をこめるのだろう。
日本でも、今の民主党政権は明らかに「大きな政府」策へと走った。その走り過ぎが今や消費税増加策などを生んでいるのだろう。
こうして全世界的に意味を持つ「政府のあり方」を問う米国の大統領選挙の行方は、日本の国のあり方を決める論議でも非常に重要な要素となるのである。
その米国の大統領選挙では果たして温故知新の教えがどこまで生きるのか。これからの約9カ月の間、注視されるところである。
杜父魚文庫
9000 アメリカ大統領選挙の真の争点とは 古森義久

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