9032 小泉郵政解散の再現になるのか  古沢襄

野田首相ら民主党執行部は与野党協議をして三月下旬に「消費税を含む税制の抜本的な改革に係る具体的な改正内容を定める法案(消費増税法案)」を国会に提出するスケジュールを描いている。これに対して消費増税に反対する小沢一郎氏は法案採決で反対する造反の態度を表明した。
野田執行部は消費増税法案の採決に当たっては”党議拘束”をかけて対抗するであろう。小沢氏ら反対派は衆院本会議での”欠席戦術”に出るかもしれない。これに同調する議員の数はまだ掴めていない。少数であれば法案可決後、小沢氏ら造反議員を党紀委員会にかけて除名も辞さない。
もし造反議員の数が多くて法案が否決されれば、野田首相は解散に踏み切る公算が大である。消費増税の必要性を選挙で訴え、民意を問うのではないか。小沢氏の造反発言によって政局はにわかに波乱含みとなった。
何やら2005年の小泉元首相時代の郵政国会を思わせる政治情勢となった。小泉内閣では郵政改革に対する大量の造反者が出て、衆院はギリギリで可決したものの参院では否決されてしまった。その事態に小泉元首相は解散権を行使して郵政選挙で圧勝している。
消費税国会では、民主党内の造反はあっても衆院可決の公算がある、しかし参院では否決の可能性が高い。消費増税はいつの時期か、やらざるを得ないという認識は自民党内にもある。法案の衆院可決が出来れば、自民党と話合って”話し合い解散”の条件の下に消費増税法案を成立させる道は残されている。ただ、その道は狭く、困難なことは言うまでもない。
小沢氏の造反発言によって政局はにわかに波乱含みとなった。野田首相はすでにルビコン川を渡った。共和政末期の古代ローマでユリウス・カエサルはルビコン川を渡り「賽は投げられた」と軍団を鼓舞してローマに進軍している。歴史は繰り返すのであろうか。
杜父魚文庫

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