ロムニー前マサチューセッツ州知事は共和党指名争いの戦術を一変した。ギングリッチ氏らライバル候補の批判を封印して、もっぱらオバマ大統領の経済政策の批判に集中した。これが保守派を含む共和党支持者にも支持を広げる要因となったと米CNNは分析している。
さらにロムニー優勢が伝えられる七日のコロラド、ミネソタやミシガン(21日)の予備選が続く。
CNNによると、これまでの各候補の代議員獲得数はロムニー氏が97人で、続くギングリッチ元下院議長(31人)、ポール下院議員(14人)、サントラム元上院議員(10人)らを引き離している。党員集会・予備選が集中する3月6日のスーパーチューズデーを控え、ロムニー氏優位の構図が一段と強まってきた。
CNNの党員集会での入り口調査では、最重要の争点は「経済」が54%でトップだった。ロムニー氏の知事や企業経営者としての実績に期待が集まったことが支持拡大につながったとみられる。
保守派の間での不人気が指摘されていたロムニー氏だが、今回の党員集会では自らを「保守」と回答した有権者83%のうち54%を獲得。保守派の草の根運動「ティーパーティー」の支援者からも最も多くの支持を得ており、ギングリッチ氏の支持層にも食い込んだ。
候補者として最重要の資質では「オバマ大統領に勝てる」ことを挙げた有権者が44%と最も多く、このうち7割がロムニー氏を支持。一方、ギングリッチ氏は2割弱にとどまった。
英ロイターはギングリッチ氏が、選挙戦から早期に撤退するのではないかとの観測が出ていることに対し、「撤退するつもりはない」と記者団に述べ、最後まで戦いを続ける考えをあらためて繰り返したとしている。
<(ラスベガス 4日 ロイター)4日にネバダ州で行われた米大統領選指名候補を争う共和党の党員集会で、ロムニー前マサチューセッツ州知事がギングリッチ元下院議長ら他の3候補に大差をつけて勝利した。これにより、ロムニー候補は5州のうち3州で勝利を収めたことになり、指名獲得に向けて大きく前進した。
次は、7日にコロラド州とミネソタ州で党員集会、ミズーリ州で予備選が行われる。
ギングリッチ候補は、選挙戦から早期に撤退するのではないかとの観測が出ていることに対し、「撤退するつもりはない」と記者団に述べ、最後まで戦いを続ける考えをあらためて繰り返した。(ロイター)>
<【ラスベガス(米ネバダ州)堀山明子】米大統領選の共和党指名候補争いで、穏健派のロムニー前マサチューセッツ州知事(64)は2月初戦のネバダ州党員集会を制し、幸先のよいスタートを切った。今月はロムニー氏の優位が伝えられる州での戦いが続くため、陣営は連勝で勢いを加速し、天王山となる3月6日の「スーパーチューズデー」になだれ込む戦略を描いているとみられる。
「みなさんの信任はホワイトハウスまでもって行く。約束を守らなかった4年前のオバマ候補とは違う」
勝利後の集会でロムニー氏は、ネバダ州の深刻な失業率を挙げながら雇用創出に努める考えを力説した。ギングリッチ元下院議長(68)ら指名候補を争うライバルにはほとんど触れず、戦う相手はオバマ大統領だけ、と言わんばかりだった。
ギングリッチ氏は開票後の記者会見で「この州はモルモン教徒が強いから」と敗因を分析した。確かに米CNNテレビの投票直前の調査によると、モルモン教徒と回答した有権者が26%で、このうち9割がロムニー氏に投票する意思を示した。
今回の得票率は08年のネバダ州党員集会の51・1%から下落したものの、他の候補を寄せ付けなかった。ロムニー氏は今月1日、「救済策があるから、最貧困層は気にかけない」と発言。翌日に失言だったと認めたが、ギングリッチ氏らが「敵失」を生かすことができなかった格好だ。
また、今後予備選や党員集会が行われるコロラド、ミネソタ(いずれも7日)やミシガン(28日)では、ロムニー氏は08年の指名争いで勝利しており、今回も有利な戦いを展開している、と米メディアは伝えている。
ギングリッチ氏は「オハイオ(3月6日)、テキサス(4月3日)の戦いがある」と大票田での巻き返しを図る姿勢を示した。ただ、08年の民主党指名候補争いでは、オバマ候補が小規模州で連勝を重ねて勢いを加速し、大本命とされたクリントン候補(現国務長官)を破っており、他の候補にとっては厳しい戦いが想定される。(毎日)>
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9038 ギングリッチ氏が早期に撤退する観測も 古沢襄

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