ギリシア国民の非協力と反乱はつぎにポルトガル経済を萎縮させるだろう。ギリシアの失業率は21%、工業生産のおちこみは11%。GDPに対する赤字は142%。
もっと大胆な緊縮財政と冗費削減、厳格なる節約を要求するEUならびにIMFは、これらの実行を約束だけではなくギリシア政府に「担保」を要求し、その替わりに1300億ユーロ(1700億ドル)の救済資金を注ぎ込む。2020年までにギリシアは対GDPの累積債務を120%までに減らせ、と。
大筋でギリシア政府は受け入れを表明しているが、国民は断固として拒否の構え、連日アテネにはデモ隊が行進し、街は騒然となっている。
確実にいえることは、ギリシア救済が実行されるということはギリシア国債保有の銀行、機関投資家、個人らが被災し、未曾有の冨の破壊が同時に行われるのである。
3月20日がギリシア救済の期限である。この日までに借金返済の延長がかなわないとなるとギリシアはデフォルトに陥る。
市場はギリシア政府の受け入れ表明に楽観論が支配しているが、基本の問題はひとつも解決されておらず、単に希望的観測というムードが支配しているだけなのである。
すでにEU諸国間で、ギリシア問題は三年にわたって頭痛の種となっており、「ギリシア連鎖」が次に飛び火するのはポルトガルに焦点が絞り込まれてきた。
イタリア、スペインはまだポルトガルに比較すれば軽症、またフランスは格付けは引き下げられたものの、デフォルトの可能性はすくない。ドイツ以北の加盟国は財政が比較的健全である。
つまりユーロ加盟国は現時点で3つのクラスに分類されることとなった。
第一 ドイツならびに北欧圏
第二 フランス、スペイン、イタリア
第三 ギリシア、アイスランド、ポルトガル
▼ポルトガル、アイスランドの焦燥と不安
「ギリシア連鎖」というタームは、ギリシアの債務不履行がなされた場合、連鎖的にアイスランド、ポルトガルがデフォルトの危機に陥ることとなり、次にその嵐はスペイン、イタリアの順で襲う。やがてユーロのシステムが機能せず、統一通貨体制が瓦解を始めることになる。
だが最大の矛盾は債務不履行をさけるために節約を強要すれば、不景気はもっと深化することである。ギリシアの失業率が21%などと言っても、スペイン、ポルトガルはもっと悪い。23%から24%の失業、しかも、若者の失業が50%に近いのである。
ウォール街の反乱、座り込み、米国でもティパーティ運動が展開されているように、西欧各国を歩くと、連日ストライキ、それも公共交通機関がストップ、大規模なデモが行われて街々は騒然としている。まだ暴力沙汰がおきないのは、それなりの民主国家の民度であり、そうでない中国などでも暴動となる。
これに比べると、ここまで景気が悪化したとはいえ、日本はまだまだノー天気の平和のぬるま湯につかっていることになる。露天風呂の付近には大寒気団が近づいているというのに・・・。
杜父魚文庫
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