物価目標について日銀はこれまで「2%以下のプラスの領域で、中心は1%程度」としていたが、今回の追加緩和に当たり「当面は1%がメド」に改めた。
白川日銀総裁は会見で、表現を変更した理由について「対外的な説明で改善の余地がないか真摯(しんし)に検討した」と自主的な対応であることを強調している。だが、そうであるならば、もっと素早く対応すべきだった。
<デフレ脱却には経済成長が欠かせない。その戦略を担うのは政府の役割だ。しかし、歴代民主党政権は何度も成長戦略を掲げながらも、成果を挙げていない。
野田佳彦政権は日銀に注文をつけるだけでなく、自ら成長戦略の実行力を示すべきだ。(産経)>
バブル経済が崩壊し、日本は先進国では戦後初めて異例のデフレーションに突入した。その改善策は自民党政権下でも試みられてきたが成功していない。民主党政権下では「何度も成長戦略を掲げながらも、成果を挙げていない」のが実態である。
むしろ成長戦略を欠いたまま日銀の金融政策でデフレ脱却を図ろうとしているといっても言い過ぎではない。経済成長にともなう租税収入の増加により日本の財政再建を実現すると主張する側からみれば、隔靴掻痒の批判が残る。
”上げ潮派”と称される成長政策重視派は、増税を先送りしイノベーションや金融緩和などにより経済成長を高めれば、税収が自然増となりプライマリーバランスの黒字化が達成できると主張している。これに対して自民党政権下でも与謝野馨、谷垣禎一、柳澤伯夫らは財政再建の実現には消費税など歳入面での改革が不可欠と主張し”財政再建重視派”といわれた。いまの民主党政権はこの延長線上にある。
これとは一線を画しプライマリーバランスの黒字化達成時期の先延ばしを主張した麻生太郎らは「黒字化目標先送り派」と呼ばれている。小沢一郎は無駄な支出を減らすことで歳出削減を図れば、増税を見送ってもプライマリーバランスの黒字化は達成できると主張している。
一方、日米の経済学者たちからリフレ政策によるデフレーション克服を唱えられ、その具体的な方策としてインフレ・ターゲット論が再三にわたって提案されている。しかし日銀や一部の学者の中には反対論が多く、公式には採用されずに今日に至った。与謝野馨は「政治がインフレ頼みで物事をやるのは悪魔的手法だ」と言い切っている。
日銀がこのタイミングで物価上昇を新たな目標を定めたことについて、米FRB=連邦準備制度理事会が先月、2%の物価上昇率を「長期的な目標」にすると発表した影響があると指摘する向き多い。インフレ・ターゲットという言葉は使わないが、物価上昇率(インフレ率)に対して中央銀行が一定の範囲の目標を定め、それに収まるように金融政策を行うのは、インフレ・ターゲットにジワリと近づいたともいえそうだ。
インフレ・ターゲット論=インフレターゲット(inflation targeting)とは、物価上昇率(インフレ率)に対して中央銀行が一定の範囲の目標を定め、それに収まるように金融政策を行うこと。インタゲと略称されることもある。インフレ率が低い時は、通貨量を意図的に増加させて(公開市場操作)緩やかなインフレーションを起こして、経済の安定的成長を図る政策(リフレーション、通貨再膨脹)となる。マネーサプライと物価との関係が不安定となったことが導入の背景にある。
1930年代のスウェーデンで物価水準目標(英語ではprice-level target)が数年間実施された後は、1990年にニュージーランドが採用するまでインフレターゲットを採用する中央銀行は存在しなかった。インフレターゲットは、物価上昇率に対して一定の目標を定めて金融政策を行おうというもので、1990年のニュージーランドで導入されたのを皮切りに、1990年代イギリス・スウェーデン・カナダ・オーストラリア等でも実施され、つづいてブラジル・チリ・イスラエル・韓国・メキシコ・南アフリカ・フィリピン・タイ・チェコ・ハンガリー・ポーランドなど、現在は20カ国以上で導入されている。
先進国で導入されていない国の代表格して、日本やユーロ圏があげられる。米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は2006年にインフレターゲットの主唱者であるベン・バーナンキがFRB議長に就任。近い将来導入されるのではないかとの見られていたが、2012年1月25日に長期インフレ目標値を公表する方針を示しインフレターゲット導入に転じた。またユーロ圏における中央銀行的役割を果たす欧州中央銀行(ECB)ではインフレターゲットとは呼ばれないものの「物価安定の数値的定義」として2%のインフレ率が設定されている。スイス国立銀行も同様に物価安定の数値的定義であり、日本銀行は「中長期的な物価安定の理解」を公表している。(ウイキペデイアによる)
杜父魚文庫
9096 インフレ・ターゲット論がジワリと忍び寄る 古沢襄

コメント
どこの通信社よりも早い情報に驚きです。カジカが、国際的によまれるわけですね。
中国の権力綱引きがよく理解できました。
このぶんなら、古沢さん、20年続けられるでしょう。
この冬は、寒さがきつくかんじられますが、古沢さんのお父様のシベリヤ生活に思いをいたしてます。
日本が負けたといえ、ソ連にきびしく、抑留問題をせまらないことが情けなく思います。