9104 休眠口座:活用浮上 年300億円  古沢襄

財源難の民主党政権は、とうとう個人の預金で預金者と連絡がとれない「休眠口座」の活用に目をつけた。銀行などは「国が個人の預金を使うのは問題」と反発している。
国内では毎年、預金者の死亡や引っ越しで1300万口座・850億円程度の休眠口座が発生しているという。休眠口座になっても、銀行などは預金者や遺族の求めがあれば払い戻しに応じており、毎年の払戻額は350億円程度になる。残る500億円程度が銀行の収入になり、法人税を差し引いた年300億円規模の資金が活用できるという。
これに目をつけた民主党政権はその300億円もマルマルを頂戴して活用しようという。休眠口座の預金に目をつけるとは、いかにも民主党政権らしい。成長政策なき民主党政権に対して「預金者の同意なく金融機関の外部に預金を出すことは金融システムの信頼性に関わる。慎重な合意形成が必要」と全国銀行協会は反発している。菅前政権で発案されたものだという。
<政府は15日、銀行などで10年以上お金の出し入れがなく、預金者との連絡も取れない「休眠口座」を雇用や経済成長向けの資金として活用する検討を開始した。基金などを設立し、休眠口座の預金の一部を基金に移し、ベンチャー企業や非営利組織(NPO)への支援にあてる案などを検討する。ただ、銀行などは「国が個人の預金を使うのは問題」と反発しており、議論は難航しそうだ。【田所柳子】
政府は同日、関係閣僚による「成長ファイナンス推進会議」を開催し、今後の検討課題に盛り込んだ。古川元久経済財政担当相は「眠っている金を日本再生のために使うべきだ。復興財源には充てないが、東日本大震災の被災地にある企業が支援対象になれば復興にも役立つ」と強調。4月までに中間取りまとめをして、夏ごろの最終決定を目指す。
国内では毎年、預金者の死亡や引っ越しで1300万口座・850億円程度の休眠口座が発生。ただ休眠口座になっても、銀行などは預金者や遺族の求めがあれば払い戻しに応じており、毎年の払戻額は350億円程度。残る500億円程度が銀行の収入になり、法人税を差し引いた年300億円規模の資金が活用できるという。政府は今後新たに発生する休眠口座の預金を対象にする考えだ。
しかし、銀行などは「口座管理や払い戻し手続きなどのコストを勘案すると、ほぼ赤字」(メガバンク)と説明。海外では口座を維持するだけで銀行が手数料を取るケースが多いが、日本は無料が大半。国民1人あたりの口座数も韓国などの約5倍と多く、口座を維持するシステムなどに費用がかかるという。
基金などを新設すると、基金に移した休眠口座の管理費が膨大にかかる懸念がある。また、基金を東京に設置し、そこに口座を移した場合、地方の預金者らの払い戻し要求にどう応じるかなど課題は多い。
全国銀行協会は「預金者の同意なく金融機関の外部に預金を出すことは金融システムの信頼性に関わる。慎重な合意形成が必要」と指摘。このため、政府は、最後の取引から30年以上たつ預金の一部を活用できないかなど慎重に検討する。休眠口座を巡っては、海外では、韓国などで一部を基金などに移し、福祉事業者への支援などに使う例もある。昨年1月には、当時の菅直人首相も活用に意欲を見せた。
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■ことば◇休眠口座
最後のお金の出し入れや定期預金の満期日から10年以上放置されている口座。商法などは、銀行で最後の取引から5年以上、信用金庫・信用組合などで10年以上放置したままだと権利を失うと定めているが、全国銀行協会は自主ルールで一律10年以上とし、残高1万円以上で預金者と連絡が取れない口座か、1万円未満の口座を休眠口座と規定している。現在までの休眠口座の累計は約12億口座にのぼると見られる。(毎日)>
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