四月下旬には小沢裁判の東京地裁判決が下る。東京地検が小沢氏の有罪起訴を見送った時点で、法と証拠に基づく立検は難しいとみられていた。それを一部の検察官、弁護士それにメデイアが起こした”政治裁判”。闇の帝王・小沢一郎という虚像に挑戦した裁判といえる。その裏には民主党内の権力争いが見え隠れする。
東京地裁の大善文男裁判長は17日、「検察官が取り調べで『これまでの供述を変えないなら元代表は起訴しない』などと繰り返し働きかけたことは強力な利益誘導で、うその供述を導く危険性が高い取り調べだ。違法不当なもので、許容できないことは明らかだ」と強く批判し、証拠として採用しない決定をした。
また、小沢元代表への報告を認めた池田光智元秘書の供述調書も一部を除いて、「取り調べに利益誘導があった」と指摘して採用しなかった。
これによって、小沢元代表の関与を示す直接的な証拠はほとんどなくなり、検察官役の指定弁護士は、有罪を立証する柱を失ったことになる。
小沢被告の弁護団は17日午後の会見で、「調書の中心部分が却下された。小沢さんを有罪とするような証拠はほとんど消えてしまった」と話した。
一方、検察官役の指定弁護士は「池田被告の調書は一部採用されており、調書以外の間接証拠でも小沢被告を有罪とすることはできる」とコメントしている。強がりという見方があるが、なお有罪判決に一縷の望みを託している。
小沢氏に近い民主党の輿石東幹事長は国会内で記者団に「裁判の行方を静かに見守っていればいい。党内を含めて皆さんがこの現実をどう考えるかだ」と述べて、後は沈黙を守っている。
<民主党の小沢元代表の裁判で、「収支報告書のうその記載について小沢元代表の了承を得た」とする石川知裕衆議院議員の供述調書について、東京地方裁判所は「検察の取り調べは違法で不当だ」と強く批判し、すべて証拠として採用しないことを決めました。
これによって元代表の関与を示す直接的な証拠はほとんどなくなり、検察官役の指定弁護士は、有罪を立証する柱を失ったことになります。
政治資金を巡る事件で強制的に起訴された民主党元代表の小沢一郎被告(69)の裁判では、収支報告書の記載について元秘書の石川知裕衆議院議員らから報告を受けて了承していたかどうかが最大の争点になっています。捜査段階で、石川議員らは「小沢元代表に了承を得た」と供述しましたが、裁判では、調書の内容は事実とは異なると主張しています。
このうち、石川議員の供述調書について、東京地方裁判所の大善文男裁判長は17日、「検察官が取り調べで『これまでの供述を変えないなら元代表は起訴しない』などと繰り返し働きかけたことは強力な利益誘導で、うその供述を導く危険性が高い取り調べだ。違法不当なもので、許容できないことは明らかだ」と強く批判し、証拠として採用しない決定をしました。
また、小沢元代表への報告を認めた池田光智元秘書の供述調書も一部を除いて、「取り調べに利益誘導があった」と指摘して採用しませんでした。小沢元代表は、背筋を伸ばして目を閉じて座り、決定の内容を聞いている間も特に表情を変えませんでした。
これによって、小沢元代表の関与を示す直接的な証拠はほとんどなくなり、検察官役の指定弁護士は、有罪を立証する柱を失ったことになります。
判決は4月下旬にも言い渡される予定で、裁判所が採用した調書の内容や小沢元代表の法廷での発言など残された証拠をもとにどのような判断を示すか、注目されます。
裁判のあと小沢元代表の弁護団が会見し、弘中惇一郎弁護士は「捜査段階で小沢元代表の関与を認めたかのような秘書3人の調書の中心部分が却下され、これで有罪にするような証拠はほとんど消えた。審理の基礎となる証拠が固まったので、無罪判決を得るための最終的な準備を進めていきたい」と述べました。
一方、検察官役の指定弁護士は、裁判所の決定について、想定の範囲内だとして有罪の立証に向けて強気の姿勢を崩しませんでした。
指定弁護士を務める大室俊三弁護士は、裁判のあと、「元秘書らの調書は、検察がそれだけでは起訴できないと判断していたものなので、そもそも証拠としての価値はそれほど大きくないと考えていた。決定は意外ではない」と述べ、想定の範囲内だったことを強調しました。そのうえで、「直接的な証拠の大半が無くなったことで具体的なやり取りを立証する手段はなくなったが、池田元秘書の調書の一部は採用されているうえ、そのほかの間接的な事実を積み上げていくことで有罪の立証は十分可能だと考えている」と述べました。
また、裁判所が検察の違法な取り調べがあったと指摘したことについて、検察幹部の1人は「批判は、真摯(しんし)に受け止めなければならない。小沢元代表の強い関与を示す証拠がなくなり、検察官役の指定弁護士にとっては厳しい状況になったのではないか」と話しています。(NHK)
<資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた民主党元代表小沢一郎被告(69)の第14回公判が17日、東京地裁であり、小沢被告に虚偽記載を報告し、了承されたとした石川知裕衆院議員(38)の捜査段階の供述調書について、大善文男裁判長は「検事による違法、不当な取り調べによるもので、許容できない」として証拠採用を却下した。
小沢被告の共謀を示す直接の証拠は、虚偽記載の報告、了承を認めた石川議員ら2人の調書しかなく、検察官役の指定弁護士にとって厳しい結果となった。
指定弁護士が証拠請求していた供述調書42通のうち29通が、全文または一部却下された。小沢元代表への「報告・了承」を認めた池田光智元私設秘書(34)の調書は、一部が証拠採用された。
大善裁判長は、石川議員に対する東京地検特捜部の検事による取り調べについて、「虚偽供述に導く危険性が高い取り調べだ」と判断し、調書の任意性を否定した。
取り調べで検事が、別件での再逮捕を示唆したり、小沢被告は起訴されないとの見通しを示したりすることで、石川議員を懐柔、説得し、調書作成に応じさせた疑いがあると指摘。別の検事が石川議員の前で取り調べメモを破ったことなどから、「複数の検事が圧力をかけており、取り調べは組織的なものだったと疑われる」と判断した。(時事)>
杜父魚文庫
9119 東京地裁が石川議員の調書を不採用 古沢襄
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