イラン石油省は19日、英国とフランスの石油会社を通じた原油の輸出を停止したと発表した。イランの核開発停止を求める欧州連合(EU)が、7月1日から輸入を完全に禁止する制裁を決めたことに、報復として先手を打って英仏への原油輸出停止を決めた形だ。
【カイロ=大内清】イラン石油省は19日、英国とフランスの石油会社を通じた原油の輸出を停止したと発表した。石油会社の名前は明らかにしなかった。イラン産原油をめぐっては、核兵器製造の意図が疑われる同国の核開発停止を求める欧州連合(EU)が、7月1日から輸入を完全に禁止する制裁を決めており、イランとしては、制裁への報復として先手を打って輸出を絞った格好だ。需給逼(ひっ)迫(ぱく)懸念が強まって、価格が上昇する恐れもある。
原油禁輸問題でイランは、欧州が実際に制裁を発動した場合の報復として原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡の封鎖をちらつかせるなど強硬姿勢を崩しておらず、米欧との緊張が高まっている。
英仏両国のイラン産原油への依存度は高くないが、両国への輸出停止を真っ先に行うことで、ギリシャやイタリアなど依存度の高いEUの一部加盟国に揺さぶりをかける狙いがありそうだ。
一方、イランのメディアは19日、同国の軍艦2隻がエジプトのスエズ運河を通過しシリア西部タルトゥースに入港したと伝えた。イラン艦船が同運河経由で地中海に入ったのは昨年2月以来。同国と敵対するイスラエルは同日、「挑発行為だ」とイランを非難した。
イランは前回のスエズ通過でも、イスラエルや米国から強い反発を受けた。にもかかわらず、再び艦船を派遣したのは、スエズ通過の既成事実を積み重ねるとともに、イランの核施設への攻撃も取り沙汰されるイスラエルを牽(けん)制(せい)する狙いがあるためとみられる。また、デモ弾圧で国際的な非難を浴びるシリアに寄港したことで、同国のアサド政権との友好関係を維持するとの意思を示した形だ。(産経)>
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9127 イランが英仏への原油輸出停止 古沢襄

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