金(ゴールド)からダイヤモンドまで世界一の消費国は、かの国(チャイナ)。庶民は末端で、やっぱり人民元を信用していないからでは?
2010年を通して金価格の平均値は一オンス=1225ドルだった。これが2011年には同1572ドルとなった(九月の場中、一オンス=1920ドル94セントをつけて史上最高値となった)。
「にも関わらずインドと中国の購買意欲は留まるところを知らず、2011年に中国は合計769トンもの金塊を購入した(このうちの34%が投資目的と判明した)。前年比34%増。インドは2010年に1006トンを輸入したが、11年度は933トンとなって、以後ルピー暴落がおきたため2012年には確実に(金の輸入ランクで)、中国に抜かれるだろう」(ウォールストリート・ジャーナル、2月16日付け)。
金塊をたべるように購入し続ける中国、じつは南アをぬいて金産出量でも世界一である。コンゴ、アンゴラ、二ジュール、ジンバブエでは金鉱の利権をめぐって殺人事件まで起こっているが、どん欲に中国が買うからである。
したがって輸入量でインドの負けているとはいえ、国内産出量を合計すれば中国は過去三年ほど、世界一のゴールド消費国である。
日本は逆に金売りがブーム。これらは90%以上が中国に輸出されていると推定されている。中古品も質流れも、地金に再生されて中国へ輸出される。換言すれば日本人は自らの通貨を信用している証拠である。
▼ティファニーで朝食を、のユーモアが分からないようだ
金地金によるタンス預金も飽和となると、中国人が次に向かったのはダイヤモンド市場だった。宝飾用ダイヤモンドは「給料の三ヶ月分が目安」などと根拠のない数字でウェディング市場を育てたデビアスとて、中国でダイヤがこんなに売れるとは考えていなかった。
ティファニーの成功を横目に、中国のダイヤモンド市場は、いきなり二倍となった(中国は日本とおなじく有名デパートにはティファニーの出店がある)。
中国での売れ筋はピンクのダイヤモンドだという。昨年、サザビースがジュネーブでおこなったダイヤモンド・オーションでは、黄色の「サンドロップ」というダイヤが1240万ドル(邦貨換算=およそ十億円弱)で落札されたが、おそらく中国人富豪ではないか、と囁かれた。
同年、香港でのオークションでは69カラットの黄色ダイヤモンドが出品され、350万ドル(2億8000万円)で落札された。
中国の金装飾品とダイヤモンドの巨大チェーンや周大福、ティファニー、そしてデビアスだが、すでに中国国内でもダイヤモンド研磨業が盛業をきわめ、大都市にはジュエリー・センターが開設されており、およそ三万人の研磨工がいるという。
アントワープから中国へ輸出された研磨済みのダイヤモンドは 2012年に50億ドルに達し、前年比25%増加となった。
これらの異変現象が示唆するのは人民元の異変予兆、ちかく人民元の大幅切り下げが実現するのではないのか?
杜父魚文庫
9137 金塊をたべるように購入し続ける中国 宮崎正弘

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