9162 都市流入の農民は1億3500万人  宮崎正弘

中国の都市人口は51・27%、農村の過疎化が目立つようになった。都市戸籍取得が簡素化されたが、地方政府は通達を一年も秘密にしてきた。
国務院が都市における農民流入の戸籍移動簡素化の通達をだしたのは、じつは一年前。2011年2月26日である。
従来、一般的規則としては、移住した都市で「三年以上」、安定した職業に就き、納税していたという証明があれば都市戸籍を申請できた。これが「一年」に短縮され、農民の都市戸籍取得が大幅に簡素化されていた。
にもかかわらず、実行したのは重慶市と上海市のみ。北京は逆に「不法移民」の子供らを収容してきた私立学校を廃校として、子供らを両親から離し、祖父母らのいる田舎へと再転校させる。北京の「不法移民」は700万人と推定される。
地方政府が一年間、この通達を無視してきたのは受け入れるインフラが整わず、まして都市戸籍取得となると医療、教育、福祉も平等としなければならないからだ。
ただでさえ超満員の病院は難民収容所のようになるだろう。午前五時に病院には順番を取る列ができているほどに、すべての行政が悲鳴をあげている。
すぐにも都市戸籍が取得できる資格がある都市流入済みの農民は1億3500万人と推計されており、実質には二億人が都市部へすでに流入している。つまり中国の都市人口は、いまや51・27%にも達している。
この難題を、いったい中国はいかにして解決するのか。
杜父魚文庫

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