9164 「時をこえるうた 漢詩」の発刊  古沢襄

漫画家のすずき大和さんから「時をこえるうた 漢詩」(国土社)を贈っていただいた。慶応大学の八木章好教授とすずき大和さんの共著。
「漢文ってむずかしい」というイメージを一新する、やさしい漢詩の本。昨年四月から小学校高学年から国語の授業で漢詩を学ぶことになった。しかし戦後生まれの親たちにとって漢詩は苦手、子供たちも漢詩には馴染めない、というのが正直なところであろう。
ページをめくると、すずき大和さんの美しい絵で、詩の一場面が展開されている。李白や杜甫などの漫画解説があって、漢詩を詠んだ当時の背景や、詩にこめられた思いを伝えている。
すずき大和さんから「まんが紀行 奥の細道」(青山出版社)を贈っていただいたことがある。日本漫画家協会賞特別賞の受賞作品。
「時をこえるうた 漢詩」は①声を出して読む②絵で楽しく学ぶ・・・ことになっている。漢詩は何百年、何千年もの長い時をこえて、うたいつがれてきた中国の詩。詩はもともと声に出してうたうものだという。
西暦七世紀から十世紀はじめまで約300年つづいた唐王朝が漢詩の黄金時代だった。この時代に登場した李白や杜甫は、中国の二大詩人。白楽天など唐代にはたくさんの有名な詩人があらわれて、日本文学にも大きな影響をあたえた。
読みくだし文で杜甫の有名な「春望」(春のながめ)の漢詩を書いてみる。(杜甫が四十六歳の作)
国破れて 山河在り
城春にして 草木深し
時に感じては 花にも涙をそそぎ
別れを恨みては 鳥にも心を驚かす
烽火 三月に連なり
家書 万金に抵(あ)たる
白頭 掻けば更に短く
渾(すべ)て簪(かんざし)に勝(た)へざらんと欲す
杜父魚文庫

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