9165 通貨安戦争は日本を疎外した空間で  宮崎正弘

「もうひとりのスーパー・マリオ」はドラギECB総裁。いつの間にか、1兆ユーロの紙幣の印刷は終わっているゾ。
2月23日に『フランクフルター・アルゲマイヤー』紙の独占インタビューの答えたドラギECB総裁は「すでにユーロは悲観的状況から脱した」と明言し、市場を驚かせた。株式市場でも欧州の銀行株は、「え?」、20%上昇している。この日を境に円安傾向。理由はなにか?
『TIME』のコラムニストであるファリード・ザカリアが替わりに分析している(同誌、3月5日号)。
「リーマン・ブラザーズの倒産時のような悲惨な光景は繰り返されないだろう。たとえ、ギリシアがデフォルトをやらかし、ポルトガルがそれに続いても銀行に取り付け騒ぎが起きないのは、ECBが秘かにユーロの札束を1兆ユーロ分、印刷し終えたからだ。ある日なんぞ、一日で6000億ユーロを印刷しちゃったんだ。それも驚くような低金利(1%)でECBは欧州銀行の殆どに貸し出しを終えた」。
通貨安戦争は日本を疎外した空間でやっぱり継続されていた。つんぼ桟敷の日銀はもはや当てに出来ず、政府よ、はやく政府紙幣100兆円を印刷して市場にばらまけ、という声が日々強くなっている。
ドラギがゲームの遣り方を秘かに変更した。それをみてFRBもドル紙幣の増刷を決意し、中国はいきなり金融緩和を大胆におこなって住宅取得制限を事実上撤廃し、ローンの規約を緩和し、準備率を0・5%下げて市場に5兆円相当をばらまいた。
 
ドラギはイタリア人、フルネームはマリオ・ドラギ。イタリアのエリート宰相マリオ・モンティとドラギは極めて親しい。そうか、「スーパー・マリオ」は二人いる。
杜父魚文庫

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