9211 小沢元代表の「何でこそこそ」 古沢襄

野田・谷垣極秘会談が明るみに出た後の、小沢一郎氏のテレビ登場だったから、何を語るのか少なからず興味があった。各紙の政治記者も同じだったろう。
朝日、毎日、読売の見出しの取り方が三者三様だったのも面白い。
小沢氏「消費増税、党内はほとんど反対」 TV番組で(朝日)
極秘会談:小沢元代表、不快感 政界再編の可能性示唆 (毎日)
「何でこそこそ」小沢元代表、極秘会談に不快感 (読売)
「何でこそこそ」・・・は各紙とも記事中で使っている。読売は記事の見出しにとった。
<民主党の小沢一郎元代表は3日、テレビ東京の番組で、首相と谷垣氏の極秘会談について、「二人にとってあまりいいことはない。何でこそこそ会うんだ。会っても大した結果は出ない」と不快感を示した。
元代表は消費税率引き上げ法案に反対する理由として、〈1〉行政改革が不十分〈2〉社会保障の青写真が示されていない〈3〉デフレ脱却と景気回復を果たしていない――の3点を挙げたうえで、「何もしないで、ただ増税だけというのは国民に理解されない」と強調。改めて首相に政策転換を迫った。
また、「民主党の中では消費税増税反対という人がほとんどだ。野田さんが、政権交代の時の大改革をやるという初心を忘れて、消費税(増税)で突っ込むというのでは、民主党の中で支持を得られなくなる」との見通しを示した。(読売)>
”こそこそ”批判は剛腕・小沢らしい寸評だが、私は司会者とのやりとりの別の方に興味を持った。面倒臭がりで得てして説明不足の小沢氏が、珍しく論理的で丁寧なもの言いをしている。
①極秘会談で話題となった「話し合い解散」について小沢氏は「現実の政治の話ではない」と斬り捨てたのは小沢氏らしいが、極秘会談に関しては「2人にとって何もいいことはない。何でこそこそ会うんだという話もあるし、会ってもいい結果も出ない」と続けた。二人が会っても「話し合い解散」がまとまる筈はない、ということだろう。
②さらに消費増税には「大増税は国民の支持を得られない」と述べ、反対する立場を強調しているが、やりとりの中では消費税そのものには反対なのではないと言った。いまはデフレ脱却と景気回復に力を尽くす時期なので、大増税は国民の支持を得られないと主張している。別のところでは、このまま解散・総選挙になれば民主党は壊滅的な敗北を喫すると警告した。
消費増税を最大の政治課題に掲げて、突き進む野田政権に対しては、
③行政改革が不十分、社会保障の青写真が示されていないから、消費増税だけで総選挙をしても国民の支持を得られないというわけである。この点では国民福祉との一体改革を掲げている野田政権と明らかに認識の違いがある。
言いたかったのは最後の部分だったのではないか。
「現時点では野田さんにもう一度政権交代の初心を思い起こして政治に取り組んでもらいたい」としながら、「かなえられなくなった時どうするかとなると、日本の現状では安定した政権がどうしても必要だ。そのための方策を考えなければいけない」。つまりは政界再編の可能性に言及している。毎日は政界再編にウエートをおいた見出しをとった。
さて三者三様の見出しだが、小沢氏の政治力の見方によって違ってくる。
野田・谷垣極秘会談は不調に終わったが、両者の糸は繋がっている・・・この流れは、”小沢抜き”の民主・自民連立に向かったと政局判断すれば、党内で100の勢力があるといわれる小沢氏の力では、流れを押し止めることは出来ない。
だが自民党内は、必ずしも民主・自民連立で走り出したとは言い難い。そうは簡単にいくまい、というのが朝日と毎日の現時点の見方であろう。私の見方も朝日や毎日に近いのだが・・・。
杜父魚文庫

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