9228 「解散を道具にする考えはない」と野田首相  古沢襄

野田首相は七日「与野党の協議が行われなくても今月中に消費税増税法案を国会に提出する」と述べた。
これは目新しいことではない。この発言と同時に「できるだけ多くの政党が責任を持つことが望ましい」と法案提出後に、国会審議の中で野党の修正要求をくみ取る含みを持たせている。
むしろ発言の終わりに「解散を道具にして、何かを成し遂げようという考え方はない」と言った点を注目している。二月二十五日の野田・谷垣極秘会談以降、消費税増税法案の成立と引き換えにした、野党側との「話し合い解散」について、民主党は自民党とのパイプを通じて妥協の模索が行われてきた。
メデイアから野田首相は”小沢抜き”の大連立に踏み切るという観測すらでた。小沢元代表ら党内の消費増税反対派の猛反発が生まれている。自民党の要求を受け入れて、早期の「話し合い解散」となれば、民主党は壊滅的な敗北を喫すると小沢氏は言う。
野田氏はまず「党内に抵抗勢力を作って何かを為す小泉手法はとらない」と意図的な”小沢抜き”を否定した。消費増税法案の国会提出は与野党の協議が行われなくても政府の責任で三月末までに法案の閣議決定、国会提出の手続きを踏むことを明確にした。
そのうえで「解散を道具にして、何かを成し遂げようという考え方はない」と「話し合い解散」を否定したことになる。
見方によれば、「話し合い解散」を求める自民党の要求を拒絶し、反対論が渦巻く民主党内にも直面する”狭い道”を選択したことになる。だが、別の見方もある。「話し合い解散」はひとまず封印して、消費税増税法案の成立を目指す”民主・自民大連立”を先行させようとする試みとも読み取れる。
民主・自民の共同責任で消費税増税法案の成立を目指すというのは、突拍子もない空論のようにみえるが、一つの選択肢であることは間違いない。岡田副総理から谷垣副総理という連立方程式の模索が始まったと私はみている。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました