中国が「世界の工場」という神話が崩れ、内陸部へ工場移転したら、賃上げは回避しても奥地から沿岸部への輸送費は米国までの海運コストより高い。
猛烈な賃上げによって沿岸部での製造業がコスト倒れ、倒産、夜逃げ。広東省はとくに酷く、旧正月があけても三割の労働者が田舎から帰らず、新規雇用はままならず。賃金を過去四年間、毎年20%アップという優遇条件をしめしたメーカーでも、労働者の15%が戻らなかった。
中国の製造業は世界の五分の一を占める。その製造業、下請け、孫請けなど部品ならびに加工、組み立て工場は広東省の珠江デルタ地帯に集中しており、なかでも世界的に有名なのはiPadを生産する台湾系FOXCOM(郭台銘会長)だが、二月にも賃金を25%アップしたばかりだ。
2015年までに年率30%の賃上げがあり、環境、福利厚生、電気代、社会保険などのコスト増加も加味すると、中国での生産コストは、ちょうど北米大陸のそれと並ぶ。つまり中国で生産する意義は消えて無くなる。
さて、「そうであるならば」とばかり沿岸部から内陸部に工場を移転させたメーカーは、別の難題に遭遇した。最初に移転した企業は電力、水道の未整備というインフレ遅れに直面したが、雇用は得やすかった。ただし熟練工が殆ど不在で、賃金が安いのもそれなりの理由があった。
過去三、四年のあいだに進出した企業はインフラでは悩まされないが、新しい難題が待ち受けた。
半導体のような小さな部品ならば空輸という手もあるが、風袋が大きい物資は内陸部から鉄道、トラック輸送となる。そのコストは沿岸部から米国へ輸出する海運の運賃よりも高い場合があり、何のための移転であったのかと反省する企業も多い(英誌エコノミスト、3月10日号)
悲鳴をあげている工場地帯は広東省、江蘇省、上海、浙江省、それに加えて山東省、福建省、天津、遼寧省など。
それにしても安い労働力という神話は残る。成功した富豪も多いが、十億の民は貧困に喘いでいる。
近年、どうやら中国の「ジニ係数」が0・5を超えたようである。最悪の数字である。ジニ係数は貧富の落差、特権階級の冨の独占度合いをはかるインデックスで、日本のような万民平等社会でも0・19程度、アメリカは貧富の差が激しくて0・30前後、北朝鮮が045,従来は中国のそれは0・43程度と推計されてきた。特権階級はつぎつぎと資産を海外へ隠匿している現状はすでに何回か報じた。
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読者の声 READER‘S OPINIONS どくしゃのこえ 読者之声
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(読者の声)韓国系の人達が、米国ニュージャージー州に設置した慰安婦の碑がもとで、現地在住の日本人の子供がいじめ被害にあったそうです。ことここに至って行動しない日本人は、とんでもない意気地なしです。
特に民主党は、子ども(左翼の文字の使い方です)は社会が育てると言いながら、その子どもが不当な被害にあっているのに、座して看過している。皆さん行動しましょう。(杉並の噛みつき亀)
(宮崎正弘のコメント)1980年代、北京大学に留学していた日本人学生がキャンパスでよく韓国からの留学生にナイフで脅かされ、「謝れ」と強要される事件が頻発しました。
「何に謝るのか?」と訊くと「日帝三十年」。「それじゃ、シナの付録としての千五百年は?」とは誰も訊かなかったらしいけれど、いじめ、弱いものをいたぶるというのは中華思想の根本、ミニ中華の韓国にとって、これはブンカ的体質なのですね。
杜父魚文庫
9257 世界の工場という中国神話が総崩れ 宮崎正弘

コメント
島根県では古事記1300年のイベントがあるらしく、今年は山陰に足を延ばそうかと思います。まず鳥取県の白兎海岸での白ウサギの話のあと、オオクニヌシの神は、八十神にいじめられたあたりが鳥取県日野郡あたりで、その後根之堅洲国のスサノオ神からも試練を受ける。このあたりは島根県安来市の富田八幡宮の境内社須賀神社あたりになろうかと思います。近くには、古代出雲王陵の丘と言う弥生大型墳丘墓の一種四隅突出型墳丘墓の密集地帯があるそうです。イザナミ神の神陵地である比婆山にも寄ってみたい。そうやって島根県松江市にある黄泉平坂のある揖夜神社に寄って、出雲大社や古代出雲歴史博物館のある島根県出雲市へと向かいます。こうやって、オオクニヌシの神の移動に合わせて観光するのも一興だと思います。古代歴史博物館に飾られている錆びずに出土した大刀は、中間地点の安来市から出土したらしく、ここはたたら吹き製鋼法を伝える和鋼博物館や、日本庭園世界一の足立美術館などもあるようですね。